第十四章 ②神在月の出会い(出雲大社本殿)
いつの間にか
空は薄明るくなって大地は赤々とした
凛花を背に乗せて飛翔するコン太が説明する。
「出雲大社の空上には
コン太の隣をカリスマ神霊獣使いイレーズが歩いている。押し黙って眉ひとつ動かさない。不機嫌顔のままに
凛花はそっとため息を漏らす。
……密かに憧れていたカリスマ神霊獣使いは想像とはまったく違った。
仙人のお
若くて美しい男性だった。
イレーズさんは私に対して『拒絶』の意志を
……どうやら残念なことに『家族』どころか『友達』になっていただくのも難しいらしい。心はわずかに
だけどもなぜだか。
第二の
「ほらほら! イレーズも一緒にお参りしようよ!」
「…………。(無視)」
脇目も振らずにさっさと先に行ってしまった。
「まったく愛想が無くてしょうがない奴だなあ。じゃあ、おいらとお参りしよっか!」
「うんっ!」
ふたりで
まずは参道右手にある『
コン太が
「出雲では四回手を合わせるだろう? それは『
「ふふ。コン太のレクチャーは分かりやすくって助かるな」
「五月十四日の大祭礼(
「わあ、素敵だね。特別な日なんだね」
「そうさ! それにしても『無限』って、なんだか広くて大きくてかっこいいよねえ?」
「うん! たしかにかっこいいね」
第三の
左の
第四の鳥居(銅製)をくぐる。荒垣内の拝殿のしめ縄が見えてきた。
日頃の感謝を念じて二礼四拍手一礼の作法を以って心を込めて参拝した。
(今日もとっても幸せです。ありがとうございます)……
「ほら、背中に乗って」
凛花は呂色九頭龍神の姿に戻ったコン太の背に乗る。そうして通常は入ることが許されない
ご本殿の屋根を見下ろすその結界上にはすでに先客が居た。それはカリスマ神霊獣使いイレーズと見知らぬ小さな龍神だった。
四人は正対して向かい合う。
凛花は小さな龍神に特別な
コン太は威儀を正して言葉を発する。
「紹介するよ! こちらに
凛花は驚く。
「龍王様は
コン太は
「表龍王の
凛花は未來王からの
凛花は感激して再度拝礼する。そして無邪気に笑う。
「はじめまして。凛花と申します。表龍王であらせられる
「うむ。
「ありがとうございます。燦紋様は小柄で可愛らしい龍王様なのですね! 黒色の
「ふむ。龍神は怖くないかね?」
「恐れながら申し上げます。龍神たちは私にとって大切な家族です。怖いどころか可愛くて仕方ありません」
「ほう……。かわいい、か。それはそれは良かった」
「ですが問題は私です。びっくりするほど知識が足りていません。どこで学べばいいのか分かりません。ノアとコン太に甘えてばかりです」
「ふむ、そうかね」
「しかしながら。この肉体が消滅するまでお仕えさせていただく覚悟だけはあります。至りませんが龍神界の家族の一員として認めていただけるように頑張ります」
龍蛇神王燦紋は愉快そうに声を上げて笑った。
「龍使い凛花よ。龍神界ではとっくに家族として認めているぞ。では、かわいい凛花。家族として握手をしよう」
「ええっ! あっ、ありがとうございます! ううっ……、嬉しいです」
ふたりは握手を交わす。凛花は瞳を潤ませた。
龍蛇神王燦紋はイレーズに声をかける。
「
「…………。」
イレーズは表龍王の問いかけに対しても
コン太は微妙な空気感などお構いなしに喋り出す。
「この不機嫌男のイレーズは
さらには
「わあ、やっぱりすごい…………」
思わず心の声が漏れ出てしまった。
「だけどさあ、超絶美形の天才のパーフェクト男のくせに世界一(宇宙一)の冷淡不愛想だ。人間嫌いで気難し過ぎるのが玉に
凛花は
……確かに美形だ。
だけど美しいのは外見だけではない。その並々ならぬ
イレーズさんはきっと純粋で優しい人に違いない。
凛花にはそう感じられた。
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