第十三章 ③命名センス
所沢市緑町。
ひと仕事を終えたコン太がいつものように赤煉瓦ベルに立ち寄った。
「へいへいっと、ただいま! おっじゃましまーーー…………すっ?」
「あっ、コン太! おかえりなさいっ」
「おかえりーーーっっ」
凛花の可愛い声に混じって威圧感のある低い声が響いた。
部屋にはなぜか富士の
コン太は口をあんぐり開けてダイニングに立ち尽くす。そこでは我が目を疑う異様な光景が繰り広げられていた。
荒ぶる乱波が!
ニコニコほのぼの和気あいあいと! 『みかん』を喰っているのだ。
その表情はだらしなく
『
居間からは凛花の
「モトロン、ショウロン、サイロン、カワロン、ヤマロン! 美味しいね! 皮は『
「
「ほらっ、見て見て! ねっ?」
どうやら乱波たちにみかんの
乱波たちは真剣な顔をしてうんうんと頷く。凛花に
「わあ! モトロン上手! カワロン、ショウロン、白いすじ(アルベド)は取っちゃダメ! ビタミン豊富なんだからそのまま食べてね。サイロン、ヤマロンはもう食べ過ぎ! これで最後ね!」
……んんっ? なんだ? 『〇〇ロン』って……。
コン太は
「ねえ…………」
「ヒッ……!」
突然背後からノアに声をかけられたコン太は飛び
目の前に繰り広げられている異様な『団らん図』に気を取られて
「ねえ、凛花の命名センス。ちょっとどうかと思わない? 変なあだ名を付けられて、乱波たち気分を害していないかしら?」
コン太はおどけて肩をすぼめる。
「まあ普通なら、口から火を
「ええ。だからさっきから冷や冷やしながら見ているんだけどね? 乱波たち、
「イヒヒッ! 怒るどころか
ノアとコン太は苦笑いした。
コン太は
確かに乱波五大龍神は以前と比べればだいぶ落ち着いた。そうは言っても
そんな荒々しい乱波たちが
だがしかし。どうやらその
「いただきます!」からの「ご
「モトロン、ショウロン、サイロン、カワロン、ヤマロン! 楽しかったね! またみんなで遊びに来てねっ」
凛花は乱波五大龍神の
「はいっ! また来るよ!
「凛花! ありがとう! またねっ(乱波妻たち)」
乱波五大龍神はもはや凛花にメロメロだ。鋭いはずの龍眼を細めてデレデレ笑顔でブンブン手を振っている。
そうして
ノアとコン太はつくづく感心する。凛花は究極の人たらし。いや『龍たらし』に違いない。
それにしても
……『命名センス』と言えば! クールでニヒルなおいらに『コン太』なんて可愛くて憎めないあだ名を付けやがったカリスマ神霊獣使いの顔が
おいらに『未來王』から正式ミッションが
さあ!
「凛花、近いうちにさあ。おいらに『コン太』ってあだ名をつけた親友のカリスマ神霊獣使いを紹介するよ! 未來王からのレコメンデッド(
「えっ! 本当に? やったあ! ぜひに会ってみたい!」
凛花は満面の笑顔で喜んだ。
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