第十一章 ②コン太の動向(プレッシャー・圧力)
深夜未明、不気味に暗い首相公邸に呂色九頭龍神在狼が現れた。総理は
公邸には幽霊が出るとの噂がある。だがしかし、総理は見知らぬ幽霊など怖くない。それよりも、九つの頭を有した
呂色九頭龍神は人間の姿に
「こんばんは、総理大臣さん。おいらは
総理は思考を整理する。どうやら目の前の馴れ馴れしい青年は龍神の化身らしい。声を震わせ問いかける。
「
「ああ! それはまだ(今のところ)『
総理は
するり、
「あのねえ、今日はねえ? 総理に
夜が明けた。
総理は頭を
……俳優レンジの
総理は思念する。
レンジの
もうすでに決定裁可され、発令を受けて叙勲者に伝達済みである。さらには、マスコミ各社が【多くの被災者の感謝の声が政府に届いた】などと大々的に報じていた。
そして何より『
つまり呂色九頭龍神は、授与式執行の数時間前に首相公邸を訪れ、無謀極まる申し立てをしたということだ。
「この俳優レンジってさあ、とんでもない男だよ? 近いうちに『化けの皮』が
「いや……、いくらなんでもそれは無理だ。夜が明けて数時間後には式典が始まる。総理と言えどもそんな勝手は許されない。それに、
「ふうん? だけど総理大臣ってさあ、内閣を統率・行政を
「だが、それとこれとは……。何よりマスコミや国民が黙っていない」
「あっ、そこは心配には及ばないよ? 総理には非難が及ばないように民意操縦してあげる。だからさあ、お願いだよ」
「しっ、しかし……」
「……へえ? ダメなの? ふーん、それは困ったねえ? もしも受章を取り消してくれないならさあ、……今度はあんたがヤバいかもよ?」
「……? ヤバい、とは?」
「イヒヒッ! もしかしたら総理のグラビリズムは消滅してしまうかもねえ? 任期満了での首相交代ならば政治生命は保証されるはず。だけど途中失脚となると……? ありゃりゃ、こりゃ大変! 『
「い、否の制裁……、とは?」
「それはねえ……、うーん……、それは
呂色九頭龍神の冷め切った薄ら笑いが
……
総理は周囲の反対を押し切ってレンジの紫綬褒章受章の取り消しを決断した。ただちに速報ニュースが流される。
『俳優レンジ、紫綬褒章受章取り消し。総理大臣独断による受章取り消しは異例』
まさに前代未聞、式典当日の発表だった。この出来事によって、世論は過剰反応を示した。俳優レンジの『背景』に疑問疑念を
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます