第四章 ④輝章の未來(契約)
吉田町・みかん山。
「子供のころから映画やドラマが好きでした。脚本家になりたい、
凛花は首を横に振る。そして率直に伝える。
「
輝章の心は固まった。改まって頭を下げる。
「さっきは断ってしまったけれど、まだ契約を交わすことは可能ですか?」
「もちろん! 次にノアが現れたら必ず『サイン』してくださいね!」
「はい! ……それにしても、
「才能あふれる
「あ、ありがとう! 龍神との契約に恥じない生き方をします。必ず……!」
凛花は花が咲いたように笑った。元気よく手を振って実家へと帰っていった。
輝章はその後ろ姿が見えなくなるまで見送った。そうしてひとり、レンタカーに乗り込む。予約したゲストハウスに向かった。
宇和島市・ゲストハウス。
軽く夕食を済ませて風呂に向かう。
……自らの汚い心、煮え切らない心、言い訳がましい心、
輝章は
真夜中、輝章は心を鎮めて
……ゆらり、空気が揺らいだ。部屋の壁をすり抜けて真珠色龍神ノアが現れた。
輝章は即座に頭を下げる。昼間の
ノアは
「
「はい、
神妙な面持ちの輝章の目の前に『是契約書』が差し出された。受け取って読み込む。すべて承知する。固い決意を込めて
次にノアから手渡されたのは、
スラスラ、輝章はサインを記し終えた。パシャッ、途端にペンは水になる。シュウゥ……、その水は体内に吸い込まれた。
そうして『是・契約』は成立した。
ノアの背に乗ってワープする。
そこには瑞光オーラを放つ『龍使い・凛花』が立っていた。
「こんばんは。またお会いできて嬉しいです。あっ、直接会うのはこれが最後ですね」
「あ…………、そう、か……」
「時間よ」
ノアが時を告げた。水平線の向こうから太陽が昇る。
輝章は
……是契約者は龍使いとの再会を求めてはならない(是契約書・第六条)。それはつまり、凛花さんと二度と会えないことを意味している。……
くるり、
バチッ、輝章と至極色龍神の視線が至近距離で重なった……!
輝章の
「脚本家として生きていく『覚悟』を定めてください。
澄んだ
……ああ、切なさが込み上げる。必死に
輝章は空に向かって『決意表明』する。
「僕はこれから多くの作品を世に送り出します。そして
キラリッ!
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