第2話

 彼は、ミラージュをリップの名前だと勘違いしたらしい。おもしろいので、そのままにしている。


 たぶん今頃、だだ広い化粧品コーナーに埋もれて身動きがとれなくなっているだろうし。これで動きやすくなった。


 通信端末。久しぶりの電源オン。


『どうだ。こっちの送った増援は』


 ん。


「増援?」


『来ただろ。男がひとり』


「あっ」


 敵じゃなかった。


「ごめんなさい。敵だと思って買い出しに行かせちゃった。ミラージュのリップ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ミラージュ (短文詩作) 春嵐 @aiot3110

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る