第12話 宇宙へ
俺は、強行偵察艦スクルドが完成するまでに艦橋でアデル艦長やアンドロイドのスクルドと何度か会話する機会があった。そして、アンドロイドのスクルドがいる意味が分かって来た。
強行偵察艦スクルドは人間が操船するのだが、何らかの理由でそれができなくなった時、アンドロイドのスクルドが操船をするのである。正直、無人でもアンドロイドのスクルドがいれば動くのである。
船は完成して、俺は、ドニィーシャと共に強行偵察艦スクルドに乗り込む。準備は終了して出航することになったが、俺はやることがないので艦橋にいる。
管制から発進の許可が出る。アデル艦長が指示する。
「スクルド前進、ステルススクリーン用意。」
外の景色を見ているとフレイムランドは浮いていた空中に・・・
「位相面接触5秒前。」「ステルススクリーン展開」「位相面抜けます。」
アデル艦長が横にいる俺に話しかける
「あなたの世界に戻りましたよ。」「でも、こんな大きなものが浮いていたら見つかるでしょ。」
「ステルススクリーンを展開していますから見えませんし、レーダーにも映りません。」
と説明すると指示を出す。
「加速して大気圏離脱」
スクルドはどんどん高度を上げ宇宙空間に出てしまった。アデル艦長は二交代制に移行させる。
俺はやることがないのでスノウビューティーのコックピットへ行く。
小惑星帯に到着するとアデル艦長はステルススクリーンを解除して、第二次戦闘態勢に移行する。俺は再び艦橋へ行く。
戦闘機のシルフが4機が索敵とセンサー設置のため発進する。管制官が指示する。
「シール3、進路クリヤー発進どうぞ。」「了解。」
「シール4、進路クリヤー発進どうぞ。」「了解。」
「シール5、進路クリヤー発進どうぞ。」「了解。」
「シール6、進路クリヤー発進どうぞ。」「了解。」
シルフ、シルフⅡともにジェット戦闘機から主翼を切り落としたような形をしているが、可変翼で大気圏内では翼を展開して飛ぶそうである。
4機のシルフは索敵をするとともにセンサーを設置していく。テスト場がクリアと確認されるとシルフⅡ2機が発進する。
「シール1、進路クリヤー発進どうぞ。」「了解。」
「シール2、進路クリヤー発進どうぞ。」「了解。」
シルフⅡの腹には細長い魚雷のようなものが散り付けられている。それは、ビーム兵器でバルカン砲のように1分に4000発撃てるそうである。
シルフⅡは、テスト飛行の跡、旧型のシルフと模擬戦を始める。シルフⅡの動きは素人の俺が見てもキレがなく、シルフの動きについて行けずにいた。
模擬戦はシルフに軍配が上がる。シール1のイザベラは船に戻ると艦橋に上がってくる。彼女は、アデル艦長に言う。
「あれじゃ使えないわ。腹の重り外して!」「イザベラ落ち着いてくれ。」
「シルフⅡは小回りの利く格闘戦用の機体をしているわ。あんな重い兵器は使えないわ。」「わかったから下がってくれ。」
こうして、ビームバルカン砲はテストパイロットたちの不評を買った。結局、このビーム兵器はシルフⅡから取り外された。
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