第10話 強行偵察艦スクルド
ドニィーシャは俺が少ししか式を修正していないウルクで動作テストを始める。俺はウルクが空を飛んでいることに驚く。
彼女は基本動作のほか、ウルクに装備している刀を振り回し、ライフルのロックオンを試す。
そして、彼女はテストの結果に満足している、反応速度が5%ほど上がったそうだ。俺は、ウルクやスノウビューティーは、魔術式を直せば別物になると確信する。
ドニィーシャに俺は魔術式の修正の時間をくれるように頼んだ。しかし、彼女は、俺の申し出は優先度が低いことを説明する。
「新型艦の運行テストと搭載機のテストが優先、あなたのスノウビューティーも搭載機に入っているわ、判るわね。」
ならば、ウォルターさんたちには悪いが、俺はスノウビューティーの魔術式を書き換えることにする。ドニィーシャの動きは、何とか目で追えるようになってきたが、とても対応は無理だ。
シミュレーションは、空中戦、地上戦、水中戦と一通りこなせるようになる。ウルクは、パイロットの意思で自動的に戦場に合わせた設定に変わる汎用機だと分かる。
スノウビューティーもウォルターさんたちを怒らせながらも整備は終わる。盾はウルクの物を流用しているが色を純白にしてある。
こうして準備が完了したのは新型艦の完成2日前である。俺は予定より早く準備が整ったので新型の強行偵察艦をドニィーシャと見に行くことになった。
ファーストフレームのある階層より下の階層へ行くと宇宙船のドックになっている、ドックは3層あるそうだ。新型の強行偵察艦はかなり大きかった、白い船体で船底は赤く艦尾にかけて赤色が炎のように立ち上がっている。
俺は、ドニィーシャに言う。
「えらく大きいな。」「全長はたった200メートルよ、戦闘間の中では小型の部類ね、艦名はスクルドよ。中に入りましょ。」
彼女はタラップを渡り中に入る、俺もあわてて後に続く。
「まずは艦橋へ行きましょ。」
俺は黙って彼女の後に続く、途中エレベータに乗るが5階層に分かれているらしい。一番上の階で降りると艦橋が見える、そして、部屋のドアが一つあった館長の居室であろうか、艦橋には二人いた、ドニィーシャが俺に紹介する。
「艦長のアデル・フェルドマンと制御コンピューターのスクルドよ」
男性が艦長と分かったが、少女がコンピューターだって、俺はドニィーシャに聞きなおす
「女の子がコンピューターと言ったように聞こえたけど。」「そうよ。」
「いいえ、制御アンドロイドです。」「人間じゃないの。」「はい。」
スクルドは肯定する。
アデル艦長がドニィーシャに質問する
「彼が例の」「そうです。」
例のってなんだ、気になる。
「艦長のアデル・フェルドマンです、よろしく。」「こらこそ仙田ほむらです。」
「アンドロイドには驚いたでしょう、制御アンドロイドを載せているのは、スクルドが初めてですから。」「船と同じ名前なんですね。」
「彼女は船そのものですから、同じ名前なんですよ。」
俺はそんなものかと納得するしかなかった。
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