第5話 フエンリル急襲

 数日間、俺は部屋の中で過ごす。ドニィーシャが食事を運んできて、トイレとバスルームは部屋にあるので部屋から出ず過ごしてしまった。

 ドニィーシャと3人が部屋に入ってくる。ドニィーシャたちは、黒い体に密着するスーツを着ている。そしてドニィーシャ以外は狐の面のような形の黒い面を付けている。

 4人とも剣を帯刀している。ドニィーシャが俺に同じスーツと面、拳銃、サバイバルナイフを渡しながら言う。

 「今から、フェンリルとして出撃します。着替えてください。」「フェンリルとは何ですか。」

 「フレイムランドは他国に干渉しないことにしています。しかし、戦闘行動をしなければならない時には、フレイムランドと関係ない形でフェンリルとして動くのです。」「内密に動くのですね。」

 「はい、助けは来ません。」「今からあの国に行くのですか。」

 「はい、私たち4人が大統領の所まで護衛します。」「お願いします。」

他の3人も気配からかなりの凄腕と言うことが判る。

 黒色のスーツは高い耐熱防弾性を持っているらしい。拳銃はベレッタ92で使い方は分かる。

 俺とドニィーシャも面をかぶる。俺たち5人は通路を歩く、かなり広く、1人では部屋に戻れないだろう。それから巨大なエレベータに乗る。

 高さ20メートルはあり、幅は10メートルはある。作業用のエレベータと思うがこんなに巨大なものは見たことない。ドニィーシャが俺に簡単に説明する。

 「深夜に大統領の官邸に輸送艇で行って、短時間で目的を果たして脱出します。」「・・・」

本当に簡単だ。

 「大統領の居場所は分かっているの。」「寝室で寝ています。場所もわかっています。」

どうやら、俺はお客さん扱いのようだ。エレベータを降りると長さ15メートルほどの乗り物が待っている。

 俺は翼がないことに不安を感じる。しかし、ドニィーシャたちに任せるしかない状況である。パイロットの交信が聞こえてくる。

 「了解。発信します。」「ステルススクリーン展開。」「位相面接触、5、4、3、2、1、0」「通常空間に進出。」

輸送艇は翼がないのに飛んでいる。ドニィーシャが俺に言う。

 「輸送艇はステルススクリーンを展開しているから見えないし、レーダーにも映らないわ。」「こんなものが空を飛ぶのか。」

 「いずれ、わかります。」

ドニィーシャが言うようにまっすぐ飛んでいてどこの国からもスクランブルを受けずに目的地に着く。

 輸送艇は大胆にも官邸の庭に降りるが騒ぎは起きない。俺たちは飛行艇から降りて建物に向かう。

 警備員は、ドニィーシャたち4人が始末していく。警備員は気づく間もなく切り殺されていく。

 彼らは静かに素早く殺しながら進んで行く。こんな芸当を出来る者を俺は知らない。

 大統領の寝室に着くと大統領は何も知らずに寝ている。寝室には2人警備員がいたがすでに床に転がっている。

 俺は大統領に近づいていく。そしてお面を取り大統領に馬乗りになる。やっと彼は目覚めると叫ぶ。

 「なんだ、おまえはー」「仙田ほむらだ。」

 「警備員はどうした。」「みんな死んでいるよ。」

 「殺すつもりか。」「死にたいなら殺してやるぞ。」

 「やめてくれ、悪かった。」「俺はいつでもお前を殺せる。」

俺は大統領の顔の横にサバイバルナイフを突き立てる。

 「俺と仲間のテロリストの手配を解除しろ。」「わ、わかった。」

 「期限は1日だ。できなければ明日殺す。」「必ずやる。」

俺はサバイバルナイフを抜き収める。俺たちは歩いて飛行艇に戻る。


 俺が部屋に戻るとドニィーシャが言う。

 「フェンリルはどうだった。」「みんな、凄腕だ。こんなに強いのは、あったことないよ。」

 「ほむら様も強くなりたいですか。」「なりたいけど、俺をどうするつもりだい。」

 「いずれ、わかります。」

大統領は朝にすぐ、俺と仲間の手配を解除した。

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