夢・八月中旬

 僕は恋人が一人暮らしをするアパートにいた。何気ない会話をいつものようにしていた時、「ごめん、好きな人ができた」なんの前触れもなかったと思う。その相手は顔も見たこともなければ会ったこともない、SNSで知り合ったらしい。後頭部が熱くなる。顔も知らない人間に奪われる?引き留める言葉はないか、どうにか説得できないか、粘ってみるが箸にも棒にもかからない。「でも、きっとうまくいかないから一緒にいてほしい。必ず戻ってくるから。」随分と勝手な話だ、普段ならこんな馬鹿げた話に耳など貸さないだろう。ただ気が動転していた。僕はその申し出を了承し、一時的なものだと信じて二番手の男に甘んじることになった。

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