七不思議には載らない第八の怪奇、体育館の呪の亡霊"呪咀"は人間を呪いたい

ちーずけーき

第壱章

第壱話 プロローグ&藁人形の招く先




「ねぇ琉花ちゃん、琉花ちゃんは学校の七不思議しってるー?」



ガヤガヤと騒がしい教室

その中である二人の女子生徒が会話をしていた



「知ってるよ!トイレの花子さんとか理科室の動く人形、とかでしょ!」



それはそれは不気味な現象、その7つの筆頭をまとめて人は七不思議と呼ぶ

怪奇現象の真の恐ろしさを知らない二人の女子生徒の会話は明るくトントン拍子で進む



「そーそー!でもさぁ、実は七不思議って、本当は八不思議らしいよ」



「えー!!なにそれ!?」



七不思議の話題で二人の女子生徒が盛り上がる

だが"七不思議"ではなく"八不思議"とはどういうことなのか

会話を覗いている最中も疑問が尽きない

その会話を覗いていた半人前退魔術師、宮藤一伽は密かに思った

一伽はこの学校、幸方高等学校の七不思議を祓うのが目的で潜入していた

一伽はまだ知らなかった

幸方学園の幸方の意味を

一人の女子生徒が八不思議と言うワードに噛みつき一伽が思ったことを口にした



「じゃあさ、もしそれが八不思議なら最後の不思議は何なの?第一の不思議が家庭科室の前の十二時に上ると呪われる恐怖の階段でしょ。二番目がトイレの花子さん、三番目が開かずの井戸。四番目が夜理科室に入ると襲ってくる人形。五番目が裏庭にある九尾の像が八時、動き出すこと。六番目が2-2の黒板に手が出てくる。七番目があるときカップルが目の前に来ると笑うと言われてる大樹。それいがい無いと思うんだけど?」



「ううん、たしかにあと一つ、不思議はあるの。でもね、それは誰も知らないらしいよ」



「ふ〜ん」



二人の会話を聞いて一伽は少しがっかりとした

もしかしたら新たな七不思議の情報を知れたかもしれなかったからだ



そんな一伽の様子を教室の天井から見ていた者がいた



『【な〜んだ、生徒の中に霊能者が潜んでると思えば、めっちゃ弱そうじゃん。これじゃボクの暇つぶしとして遊ぶほど強くなさそうだし期待したボクが悪かったのかなぁ。そーだ、この機会にちょっとあの子を呪ってやろう。別に人間共からはボクの存在をバレてないしぃ。ちょっとくらいいいよねー】』



古く錆びた少し大きめの先が尖った食事用ナイフを持ち、不気味な赤い目には"滅"と刻まれ、古風な着物を来た幼気な少年

だが口は恐ろしいほど釣り上がり見る者に恐怖を与える

少年は片手に持っていた生首を笑顔で潰し返り血を浴びた顔を歪めた



『【どんな風に呪おっかなー、三日後に死ぬ呪とか?でも生ぬるいよねぇ。じゃあ夜な夜な首が裂けるような痛みを襲う様にしよう!】』



無邪気な声で少年―八不思議の八番目、体育館の捕縛霊、呪咀は体育館へ帰る

頬を朱に染め狂気に満ちた笑みで――――



あれから三時間が経った

呪咀は人間からは見えない

それはただ単に見られたくないだけ



「ヘイッ!パスッ!!」



バスケをしている高校生たちを横目に呪咀はルンルン気分で藁人形を作っていく

遂には歌を歌い始める始末



『【かごめかごめ(囲め囲め)

かごのなかの とりは(カゴの中の鳥居は)”いついつ でやる(いつ出ら れるのだろうか)

よあけのばんに(夜明けの晩に)

つるとかめと すべった(鶴と亀と滑った)

うしろのしょうめん だあれ(後ろの正面は 誰だろう)】』



幼くよく通る声で歌いながら藁人形にせっせと『一伽』と筆で書いていく

首に麻紐を縛り呪咀独自の呪の人形が完成した



『【じゃあカゴの中の鳥さんを殺しに行こう!】』



呪咀はケラケラと笑いスキップして体育館の柱に藁人形を釘で打つ

その姿はとても邪悪で恐ろしかった

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