第23話:人は見た目によらない
「このパンケーキめっちゃ美味しくない⁉︎」
美穂がパンケーキを一口食べた途端に目を大きくしながらパンケーキのおいしさに感動していた、俺も美味しそうだとは思うがそんなに感動するほどでもないだろうと一口食べてみるとほんのりと甘く今までに食べたことがないくらいふわっとしていてなおかつ弾力もあり俺は衝撃を受けた。
「あぁお世辞なしでも今まで食べたパンケーキの中で一番美味い!」
そもそも俺はパンケーキ自体あまり外では食べないのだが、明らかにこのパンケーキの美味しさはそこらの店では比べ物にならないくらい美味しいことがわかった。
「でもこのパンケーキを作ったレオナルドさんってマフィアのボスだったよな?なんでこんな美味しいパンケーキが作れるのかが気になるんだが」
「うん!それ私も気になってたんだよ!私もよくパンケーキとか作ってたけどこんなに上手く作れたことないもん!」
(確かに…美穂だったらそこらのパンケーキより上手く作りそうだが、それを上回るレオナルドさんって…)
「説明しよう!」
「「え?」」
俺たちがパンケーキの出来について話し合っていたら菫さん厨房から飛び出てきた。
「ちょ、菫お客さんの食事の邪魔したらダメだろ!」
続いてレオナルドさんも菫さんの後を追うように厨房から出てきた。
「だって…レオちゃんが作ったパンケーキが褒められてるのが嬉しかったからつい…」
「まぁ俺も作ったパンケーキが褒められたら嬉しいが、お客さんの邪魔になるのは良くないだろ」
レオナルドさんも褒められたことを喜んでいたようだが、意外に菫さんよりしっかりしていることがわかった。
「いやいや別に大丈夫です」
「そうですよ!それよりもどうやったらこんなに美味しく作れるのか気になります!」
「まぁそう言ってくれるなら…」
とレオナルドさんは照れながらレオナルドさんの過去の話をしてくれた。
「菫が言ったように俺は昔マフィアのボスをやっていたんだが当時イタリアでは敵なしで、俺は天狗になっていたんだ」
(そんなにデカイマフィアだったんだ…)
「が特に気にもしていなかった他のマフィアと抗争をしたんだがそこで俺たちは負けてしまったんだ」
「負けた時に俺は確実に死んだと思ったよ、だがあいつは報復される危険性があるにもかかわらず俺を見逃したんだ、」
「それで俺のプライドはズタズタにになて俺はマフィアをやめたんだ後継は信用している部下に俺の後を継いでもらい、なんであの時俺を殺さなかったのか聞くためにマフィアのボスに会いに行ったんだ」
「え〜負けちゃったんですか?てか会いに行ったって…今度は殺されるかもしれないのに…」
レオナルドさんが抗争で負けたにも関わらず今度は見逃されないかもしれないのに会いに行ったことに俺は驚きを隠せなかった。
「まぁどーせ一度は死んだようなものだしな、それで会いに行ったらなんて言ったと思う?」
「『あぁ?そんなことはいいから人で足りてないから手伝っていけよ』と俺に言ってきてこき使いやがったんだぜ」
レオナルドさんは懐かしそうに話していた。
「もしかしかしてその人って…」
「あぁマフィアとは別に副業としてカフェをやっていたんだよ、はぁ今でもなんで副業でカフェなんかをやってるマフィアに俺たちが負けたのか今でもわからねぇよ」
「そのマフィアのボスの名前はアンドレアといいその後も俺を散々こき使ってきたんだぜ、」
レオナルドさんは今でもこき使われていたのは根に持っていそうだが、
「だが仕事が終わった後に賄いで出てきたパンケーキを食べて俺は感激したんだ、日々抗争などで疲れきっていた俺にマフィア以外の道を示してくれたんだ」
「そこから俺はアンドレアの下で修行して
「え?ってことは…ここって2号店だったんですか⁉︎」
「あぁそうだぜ!それはそうとこっちから話しといてなんだが仕込み途中だったから一旦厨房に戻るわ」
「じゃ私も〜」
2人は再び厨房に戻って行った。
「この店にそんな成り立ちがあったとはな…」
「そうだね私も驚いちゃった!それはそうと…そっちのパンケーキも美味しそうだよね」
と獲物を狙っている肉食動物みたいな目をしながら俺のパンケーキを見つめてきた。
「あぁ元々シェアするつもりだったから食べていいよ」
「ほんと!やった!」
と喜んでいたが美穂は一向に俺のパンケーキに手をつける様子はなかった。
「なぁ美穂食べないのか?」
「いやぁ〜せっかくだから彰人から食べさせてほしいなぁ〜なんちゃって…」
「あぁわかった」
「えっ?いいの?」
「いいの?っていい出したのはお前だろ…あっ!」
俺はあまり考えないでパンケーキをナイフで一口サイズに切って美穂の顔の前まで持って行った途端今俺が何をしているのか気づいた。
(マジかこれって恋人とかがするアーンってやつなんじゃ…)
美穂の方を見るとアーンを待って口を開けていた、俺はドキドキしながらも美穂の口にパンケーキを持っていき食べさせた。
「はい…あーん」
俺は恥ずかしながら食べさせたが恥ずかしかったのは俺だけじゃなかったようだった。
「ん、美味しい…」モギュモギュと俺があげたパンケーキを噛み締めていた、頬がイチゴを連想できるぐらい赤く染まっていた。
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