第22話:初のカフェ

 「え〜っとこの辺だと思うんだけどな…まぁすぐ着くだろ」


 俺たちは公園からゴーグルマップというアプリでお目当てのカフェを探していたが一向に見つからなくて同じところをうろうろしていた、もっもちろん迷ってるわけじゃないからな!


 (やばっ!どうしよ…何が「良いとこ知ってるから行こうか」だ!美穂に黙ってたけど実は洒落たカフェに行ってたぜ的なのやりたかったのに、このままじゃデート中に道がわからない方向音痴男なんて思われたくないぞ!どうにかしないと…)


 お察しの通りだが彰人は洒落たカフェの当然常連ではないしそもそも洒落たカフェとか関係なしにカフェなど行ったことがないのだ…


 「この付近ずっと彷徨ってるけど大丈夫?」


 「だっだだだ大丈夫にきまってんだろ⁉︎」


 「そう?じゃあもし場所がわからなくなったら私に言ってね」


 「ありがとうだが…必要ない!なんせ俺は方向音痴じゃないんでね!はははは!」


 再びゴーグルマップを確認したがカフェを示しているとこを見渡すとカフェらしい建物は見当たらなかった。


 (くそ!なんだよこのゴーグルマップ壊れてんのか?は〜仕方ないしあの建物の中にでも入ってみるか〜)


 仕方なくゴーグルマップが示している建物に向かっていくと建物の間にまぁまぁ路地にしては広めな通路があったので恐る恐る入ってみるとゴーグルマップが示していた建物の壁から地下に繋がっている階段を見つけた。


 一応お目当てのカフェの看板が置いてあったがどう見ても闇の取引とかが行われている会場に繋がるそうに見えたがカフェドゥラペと書かれている看板が置いていたので大丈夫だと思ったがそれでもなお不気味な感じが下の方から感じる気がする。


 「ねぇ彰人」


 「なんだ?」


 「ここカフェだよね?ドッキリとかでマフィアの基地に行かせたりしないよね?」


 「そっそんなわけ無いだろそもそもマフィアは日本にいないし、ほら!ちゃんと看板だってあるんだし大丈夫に決まってるだろ!」


 「そっそうだよね!」


 (とは言ったもののマジで美穂の言った通りにマフィアとかヤクザとか本当に出てきそうで怖いな) 


 俺は美穂の前では男らしく居たかったので怯えてなさそうな顔を無理やり作ってちょっと怖がっている美穂の手をぎゅっと握りしめて階段を降りていった。


 おしゃれなドアを開けた先には想像していた通りのカフェがそこにあった。


 「うわぁ〜すげ〜本物のカフェだ」


 「ここ雰囲気いいね!さすが彰人!」


 「だろ!(実は俺も初めてだがな…)」


  俺がドヤ顔をしていると厨房の方から身長が2メートルありそうな黒いスーツを着た外国人が出てきた、


 「好きな席に座ってください」

 

 ギロッ


 「「ひっ」」


 美穂の予想が的中したかのようにその男の容姿は近罰のオールバックで目に切傷があり映画で見たまんまのマフィアのボスみたいな見た目をしていたのだ。


 『ねぇ今から店出れるかな?』


 『やめとけ死ぬぞ!』


 『そうだよね…』


 『あぁお互いここは腹を括らないと…』


 入り口で俺たちはマフィアのボス?に聞こえないように小声で話し合っていたら厨房の奥からもう1人出てきた。


 「ちょっとレオちゃん!お客さんを怖がらせちゃダメでしょ!」


 「「レオちゃん?」」


 「すみれまた俺目つき悪かったか?」


 「うん!あの子たちを射抜きそうなぐらい目つき悪かったよ、本当に次からは気をつけてよね!」


 「やっちまった〜お二人さんごめんな!俺は、カフェドゥラペの店長をしているレオナルドだよろしく、日々気をつけてるはずなのにおかしいな〜」


 どうやらレオナルドさんは見た目によらず悪い人じゃなさそうだ、まぁ人は見た目によらないとは言うけど初めてあったら勘違いされそうだよな…まぁ実際勘違いされてるらしいが…


 「さっきはレオくんがごめんね〜えっとはいメニュー表!ゆっくり選んでね!じゃあ決まったら呼んでね」


 「えっあ…はいありがとうっございます!」


 「じゃあごゆっくり〜」


 そのまま菫さんは俺たちの方を見てニヤつきながらレオナルドさんと一緒に厨房の奥に消えた、


 「美穂どれにする?ここメニュー多くて悩むよな」


 俺はこういうカフェに来たことがなかったので、何を頼むのか悩んだのでカフェとかに行き慣れてそうな美穂に聞いてみた。


 「ん〜っとね〜私はこの店のおすすめのふわもっちパンケーキにしよっかなでもこっちのフルーツたっぷりパンケーキも捨てがたいしどうしようかな〜」


 「じゃあ俺がフルーツたっぷりパンケーキ頼むからシェアするのはどう?」


 「良いじゃん!それにしよ!さすが彰人ナイスアイディア!」


 「じゃあ注文するな、すみませーん注文いいですか?」


 奥から待ち構えていたかのように菫さんが注文を聞きにやってきた。


 「何になさいますか?」


 「えっと、ふわもっちパンケーキとフルーツたっぷりパンケーキを一つずつでお願いします」


 「はいわかりました、少し時間かかるから少し待てっね」


 と再び厨房に戻っていった、俺はふと周りを見渡すとやはり客は俺たちの他にはいなかった、(俺たちの他に客はいないか、まぁ流石にあんなわかりにくいとこに入り口があったら普通は来れないよな…)


 そこから待つこと数分菫さんが俺たちが頼んだパンケーキを持ってきてくれた、


 「わぁ〜すっごいぃ〜めっちゃ可愛いぃ〜〜!」


 運ばれてきたのはとても美味しそうなパンケーキで上に乗っているクリームが猫の形をしていてきちんと猫の顔にはチョコペンで可愛く仕上げられていた。


 「さすが菫さん!やっぱり手先器用なんですね!」


 「いや〜これ私が作ってないんだよね〜」


 「え?じゃあ誰が…」


 今の所このカフェで見かけた人は菫さんとレオナルドさんだけだ、まさかあの見た目でこんな可愛いの作れるわけないよな…


 「もちろんレオちゃんが作ってるよ!レオちゃんマフィアのボスみたいな見た目だから驚いてるんでしょw」


 「やっぱりレオナルドさんが作ってたんですか⁉︎」


 「うんそうだよ!あぁ見えてかわいいもの好きだからね〜まぁマフィアボスみたいっていうか元マフィアのボスだったらしいけど」


 「「え?」」


 その後菫さんが教えてくれた事なのだが4〜5年前までレオナルドさんはイタリアでマフィアのボスをしていたらしいが、なんやかんやあってそこから足を洗ったレオナルドさんが日本に来た時に菫さんと出会って結婚したらしい。


 (てか2人結婚してたんだ…)


 「おいおいそんな話お客さんにするもんじゃないだろ…」


 と厨房からレオナルドさんがひょこっと出てきた。


 さっきの話もあったからか俺たちはビビって声を上げてしまった。


 「「ひぇっ!」」

  

 「ほら言わんこっちゃない、あんな話お客さんにするものじゃないって前から言ってたじゃないか今度から気をつけるように!」

 

 「わかった…今度から気をつける2人とも怖がらせてごめんね、」


 「「いやいや全然大丈夫ですから気にしないでください」」


 「そう?ならよかった!」


 ホットケーキが冷めてしまいそうなのを気ずいたのか菫さん達は厨房に戻って行った。


 やっと一息ついたので俺たちはパンケーキを食べ始めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る