第21話:美穂の過去2

 私はあまりのショックで橋から飛び降りて身投げをしたはずなのだが、気づいたら浅い川の中で座り込んでいた。


 「あれ?あの高さから飛び降りたのになんで私生きてるの?」


 結構な高さから飛び降りたはずなのにどこにも異常がなかったのだ、強いて言うならば服が濡れていること以外怪我一つなく無傷だった。


 「嘘っ・・・傷ひとつないなんて、くしゅっ」


 もう一度飛び込む勇気はなかったし風邪もひきそうだったので仕方なく今住んでいる、マンションに帰ろうとしたが・・・


  「あれ?なんで鍵がか開かないの?部屋でも間違えちゃったかな?」


  「ん?でもヘアの番号あってるし、、、仕方ないから大家さんに問い合わせますか」


 「あの203号室の倉橋なんですけど〜部屋の鍵が開かないんですが」


 「え〜っとあなたには部屋を貸した覚えがないんですが、、、」


 「え?嘘っ、、そうですかでは失礼しました」


 何故か鍵があかなくて、大家さんに問い合わせたけど、私に部屋を貸していないと言われマンションを追い出されてしまった。


 「どうしようかな〜」


 何故か家がなくなってしまったので途方に暮れていたが、幸いなことに財布を持ってきていたので、1週間ぐらいはネットカフェとかに泊まれた。


<一週間後>


 「ふ〜何とかお金があったから1週間寝床があったけどこれからどうしよ!?」


 とうとう所持していたお金を使い果たししまったので、宿なし生活が始まると思ったが、ここから実家が近いので実家に帰ればいいと思うかもしれないが、この一週間で分かったことがある、、、


 それはこの世界が私がいた世界よりも昔の世界で別の世界線だと言うことがわかった。


 何故わかったか?というとどこか街並みとかに違和感を覚えた私は色々と調べていくうちにここが6年前の世界だと分かった、あと過去の出来事を調べていると若干元いた世界と違っていたので、この世界は私が元いた世界とは別の世界なのでパラレルワールドだと言うことがわかった。


 なので、いきなり6年後から来た娘だから泊めさせてなんて言ったら、信じられないと言うよりも最悪通報とかされそうなので気軽に尋ねに行くことができなかった。


 誰にも頼れないのでボケーとしながら途方に暮れていると頭の中で彰人との思い出が溢れてきた。


 (彰人なら信じてくれるかも!)


 彰人も信じないかもしれないが何故かその瞬間彰人なら信じてくれると思ったのですぐさま彰人の家も前まで行ったがやはり信じてもらえないかもしれないと彰人の家の前でもたついていたがこのままだと住む所もないので思い切ってインターホンを鳴らした。


 一回鳴らしても出てこなかったので焦って何回も押してしまった。


 「あの〜開けてもらっていい?」


 とマイクに話したが、今が平日の昼間だと言う事を思い出した、普通なら今彰人は学校にいるはずなので反応がないのも頷ける。


 仕方ないので諦めて野宿しようと思った途端、ガチャっと勢いよくドアが開いた。


 「美穂!」


 「「え・・」」


 (え?彰人なら気づいてくれるかもとは思ったけどまさか一瞬できずいちゃうなんて驚いた、、、)


 私は気づいてくれた事を喜んでいると彰人は突拍子もなく強雨に泣いてしまったのだ。


 「なんで泣いてるの?」


 気になってしまったので問いかけた。


 泣いてることに気付いたのかすぐに涙を拭っていた。


 「そもそもお前は誰だよ?俺はお前のこと知らないぞ!」


なぜか少しキレ気味に言ってきた。


 (誰って?え?私が美穂って気づいてくれたんじゃないの?)


 私は少し動揺してしまったがすぐに落ち着いて彰人を少し揶揄ってやろうと思った。


 「誰だと思う?」


 私は質問返しをしたら何かを思い出しているように彰人はボーッとしてしまったので家に入ろうとしたら後ろから「ちょっと待てよ!これ普通に不法侵入だぞ」と聞こえてきたが構わず家に入って行った。


 入った途端に悪臭と共にゴミが散乱されている様子が見えた、例えるといわゆるゴミ屋敷に変貌していたのだ。


 「うわっなにこれ・・」

 「えっ、、、ちゃんと家事してると思ったのに」


 向こうの世界では中学の時とかは毎日のように彰人の家に遊びに行ったが中学の時でも掃除も出来ていたしある程度の料理とかもできていてある程度の家事を一人でしていたのにもかかわらずこのような有様になっていることにひどく驚いた。


 (まさかこの世界でも引きこもりになってるの!?そこまで大きな出来事は変わらないのかな?、、、)


 「あれ?、、」


 彰人は急に気を失ってその場に倒れ込んでしまった。


 「え?彰人!大丈夫!ねぇ!」


 急いで確認したが何処にも異常はなく、ただ寝不足だったようでその場で寝ていた、部屋が暗かったせいでわからなかったが目元にくまがあることに気づいた、


 (どうしたんだろ?何かに悩んでいたのかな?起きたら話聞いてあげよう!)


 彰人を床で寝かせるのは良くないと判断したので私は彰人を寝室に運んで彰人をそのままベットに寝かせた。


 「さてと彰人が寝てるうちに家中を片付けますか!」


 家中のゴミを片付けてからチリ一つなく掃除が終わるまでに3時間もかかってしまった、それでも全然起きなかったので他にも洗濯などをやったりした。


(洗濯の時に彰人のパンツを密かに嗅いだことは秘密だが・・・)


 この日は彰人は起きなかった、仕方ないので私は勝手にお風呂に入り、食材を拝借して料理を作って食べてリビングのソーファーで寝た。


 この日は早めに起きてからすぐに身支度をしてからご飯の用意を始めた。


 (ん〜体調とかもよくなさそうだし今日は和食にしますか!)


 早速朝ごんの用意を始めた、詳しい献立はまず白ごはんに味噌汁、だし巻き卵、焼き鮭だ、


 私は昔から料理をすることが好きで一般的にも見たら上手い方だと思う、けどこだわっていたら朝ごはんを作るのに1時間30分もかかってしまった。


 (ふぅ〜思ったより作るのに時間かかちゃったけどまだ起きて来ないんだね〜まぁ寝不足だったぽいから自分で起きるまでそっとしておきますか、、)


 今盛り付けてしまうと冷めてしまうので後にした、彰人が起きるまでの間テレビなどを見て過ごすこと40分彰人がもう少しで起きてくる気がしたので料理を温め直してからお皿に盛り付けた。


 やはり私の勘は正しく料理を盛り付けてから10分後に起きてリビングにやってきた。


「おはよ!もう朝ごはんできてるから、ささ冷めないうちに食べて!」


私は起きたてで寝ぼけていた彰人を椅子に座らせた。


 「あぁいただきまーって昨日の、、」


 「なんでまだいるんだよ!」


 「だって、、、あのままほっとくわけにもいかなかったし、ついでに掃除など諸々やっちゃったって感じかな?」 


 と言うと彰人は素直に感謝してくれた。


 よほどお腹が空いていたのか彰人はすぐに私の作ったご飯を食べ出した。


 とても美味しそうに食べてくれたので作った甲斐があったと喜んでいるとなんでこの家に尋ねてきたのか聞かれた。


 (あ〜〜〜そうだった!ここに来た目的忘れてた!)


 住まわせてくれないか彰人に頼んだが当然断られた、彰人からしたら私は見ず知らずの人なのだから仕方なかったがここで引き下がるわけにはいかないので私が美穂だと言うこと証明しようと考えたがあまりいい案が思いつかなく悩んでいるとふと私のスマホにつけている小さめのキーホルダーが目に入った。


 (あっ!そう言えばこのキーホルダー昔に私が誕生日の時に彰人が手作りしてくれたやつだこれを見せたら信じてくれるかも!でも…私が元いた世界と同じようにプレゼントしてなかったら…いや!でもやることやらないと信じてくれないよね!)


 私は思い切ってキーホルダーをあきとに見せた、やはりこの世界でも彰人はプレゼントしていたようだった。


 なんとか私が美穂だと信じてくれて彰人の家に住まさせてくれた。


 「おーいいつまで思い出に浸ってるんだ?それで結局俺どうなってんの?」


 デート中なのにも関わらず私はボーッと思い出を尾も言い返していた事を恥ずかしくなった。


 「あっごめん!彰人は向こうでも普通だよ!」

 咄嗟に嘘をついてしまったが知らない方がいいので今のとこはこれで誤魔化したほうが良さそうなのでしばらくはこれで誤魔化すことにする。


 「ふ〜んまっいっか!もう結構時間経ったからカフェとかに行かない?朝ごはん食べてないし」


 「そうだね!行こ!」


 「じゃあ良いとこ知っているから行こうか」


 「うん!」


 (まぁ知っていると言うより事前に調べて口コミが良かったとこを選んだだけだがな…)


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る