第20話:美穂の過去
初デートなので張り切りすぎて朝早くに来てしまった、仕方ないので私が彰人と初めて出会った公園で思い出話をすることになった。
話しているとやはり、私が元いた世界の彰人と大差はなかっただけど思い出話をしている時に私は嘘をついてしまった。
私と彰人が初めて出会った経緯とか、は一緒なのだが中学からは私の世界とは少し違っていたので私は思わず私の世界でも同じ出来事が起こったかのように反応してしまった。
彰人は中学の時いつも私と過ごしていたと言っていたが、元の世界では私は遠くから盗撮、盗聴、位置情報を確認していただけだっけで他には彰人の周りに湧き出てくる、泥棒猫を追い払うことしかしていなかったのに対して、
こっちの世界の私はずっとあからさまに彰人に付き纏ってたらしいが、多分私と同じように盗撮、盗聴その他諸々していただろうが、、、
この事によりやはりこの世界は元々私がいた世界ではないことを再確認できたので少しほっとした。
(もしかしたら、あの出来事も起こらないかも、、、)
ここからは私の思い出を話していこうと思う。
先ほども話した通りだが私と彰人が出会った経緯や小学校の出来事などはほとんど変わらなかったが、中学からが大きく変わっていた。
私は小学生の時は彰人と2人だけで過ごしていて他に友達はいらないと思っていたが、中学に上がると同時に私は自然と友達がたくさん出来た最初は彰人だけで十分なのに邪魔だな〜と思っていたが、日に日に友達と過ごす方が楽しくなって彰人のことをほって置いて遊びに行ってしまうようになってしまった。
いつの間にか彰人は不登校になってしまい私が家に押しかけても全く反応してくれなくなってしまった。
そこから私は彰人がどこの高校に行ったかも知らなかった、そこから私はそこそこの大学を出てまあまあいい会社にも入社することができた。
私が23になって仕事にも慣れてきたときに中学の同窓会を参加確認のRINEが送られてきた、私はもちろん行くと返信した。
(久しぶりに彰人に会える!)
このRINEが来るまで私は彰人のことを忘れていたのだ、、けど彰人が今どんなふうに成長を遂げたのか気になって同窓会まで待ちきれなかった。
こうして待ちに待った同窓会が始まったが、一向に彰人が来る様子がなかった。
単に私が成長した彰人の顔がわからないと言うわけではなく、後から遅れてきたメンバーの中にもいなくとうとう全員揃ってしまったようだった。
「よーし!全員揃ったことだし始めるか!かんぱーい!」
「「「「かんぱーい!」」」」
中3の時の委員長の
私は彰人のことが気になりすぎて思わず同窓会を仕切っている関山くんに聞きに行った。
「あの〜ちょっといい?」
「倉橋さんじゃないか!久しいね!それでどうした?」
「うん、久しぶり、、少し気になることがあって、、、」
「あぁ樋山くんのことだろ、、」
「なっなんでわかったの?」
私は思っていたことを言い当てられたので動揺した。
「だって入学したての時は付き合っているかのようにいつも一緒にいたからそりゃわかるよ」
とニヤニヤしながらからかわれ私は顔を赤くしながら照れてしまった。
関山くんはすぐにニヤつくのをやめて深刻そうな顔つきに変わった。
「話を戻すんだが、、」
「うん、」
「言いづらいけど、、樋山くんは3ヶ月前に亡くなってたらしいんだっ、、」
「え、、⁉︎」
(え、、今なんて言ったの?彰人が死んだって、、そんなの嘘に決まってる)
「2週間前に同窓会の参加を確認するために元クラスメートにRINEを送ったが樋山くんだけが返信が来なかったから樋山くんの実家に電話をかけたら息子は死んだと一言言われ電話を切られてしまったんだ、、、」
「やっやめてよもーそんなタチの悪い嘘に私が比かっかるわけないじゃん」
笑って否定したが、、、現実は甘くなかったようだ、、、
「僕もさっきの電話で話したことが信じられずにもう一度電話をかけたんだ」
「やっぱり嘘だったんでしょ笑」
「樋山くんは親の言いなりになりたくなくて高校卒業とともによくわからない会社に入社して何年間も上司のパワハラなどの劣悪な仕事環境を我慢していたらしいけどとうとう疲れ切ったみたいで会社の屋上から飛び降り自殺をしたらしいんだ」
「うっ嘘だ嘘に決まってる!彰人が死ぬわけないじゃん!」
「本当に残念だけど確認したから事実だよ」
「うるさい!」
私は普段では言わない言葉を使いそのまま走って店を出て行った。
「やっぱり私のせいだ、私のせいに決まってる!私が彰人を殺したんだ!」
「うわあああああああぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
私は泣きじゃくりながらひたすら道を走り続けた。
「私がもっと彰人に構っていられていたらこんなことにはならなかったのに、彰人のことをもっとちゃんと見てたら彰人が不登校になる前に気づけてあげたかもしれないのに!」
「もう、、彰人がいない世界なんか耐えられない、、、」
気づけば私は彰人が元々住んでいた家の近くにある橋の上にいた、橋から下を見下ろすと下に流れてる川はあまり深くないので落ちると確実に死ぬぐらいの高さだった。
「死んだらもう一度彰人に会えるかな?」
そのまま私は橋の手すりに登りそのまま下の川に向かって身投げをした。
ドボンと鈍い音を立てるとともに私の意識は消えてしまった。
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