第19話:思い出の場所

 多分美穂は俺と同じ電車に乗っていたので俺と同じく1時間前に着いていたのだ。


 (美穂の方から8時と待ち合わせ時間を指定してきたのになんで2時間前に来たんだ?まあ、、俺も人のこと言えないけど、、、)


 実際俺も美穂と同じように2時間前に来ていたので驚き半減していたが、普通は待ち合わせ時間の15分前ぐらいが普通じゃないのか?と思ったがそもそも俺は人と待ち合わせたことがなかったので実際のとこはよくわからない、、、


 「みっ美穂なんでこんな時間に来てるんだ⁉︎」


 「いや彰人こそなんでこんな時間に来てるの⁉︎」


 「いくらなんでも2時間前に来るのは早すぎじゃない?」


 美穂は頭の上にはてなマークを浮かべながら俺に疑問をぶつけてきた。


 「いやそれはお互い様だろ、、」


 「うっ確かに、、」


 「まあついでに俺が早くついた理由はただ暇だっただけだ、、」


 (少女漫画とかラブコメとかの結構前から待っていたのに今来たところって言うやつをやりたかっただけなんて口が裂けても言えないがな、、、)


 「私もたまたま暇だったからかな?」


 (1分1秒でも早く彰人とデートに行きたいから早く来たなんて恥ずかしすぎて言えないよ〜〜〜〜)


 「まっまあ〜この話題は置いといて少し予定の時間よりも早いけどラパポートに行くか!」


 「うん!早く行こ!」


 そのまま俺たちはラパポートに向けて歩いて行った、まだ6時半だが割と人がいたことに驚いた。


 (いつも休日は家でゲームかアニメ鑑賞だったからな、、、)


 駅からラパポートまで徒歩5分だったのですぐについた。


 途中通行人が俺を見て笑っていたのですぐに服を買いたい。

(絶対俺のファッションを見て笑っただろ、、服選びのセンスがないから仕方ないけどな、、)


 だが驚いたことにラパポートはしまっていた。


  俺は列記としたインドアだったのであまり外に遊びに行ったりしたことがないので、当然何時からラパポートが開くのか知らなかった。


 美穂に任せておけば大丈夫だと思っていたので、事前にあまり調べていなかったのだ。


 「嘘だろ、、10時からなのか、、今6時40分だぞ、、、」


 「うっ嘘、、」

(しまった〜〜〜〜早くデートに行きたいからって待ち合わせ早くしすぎたーー〜〜どっどうしよ、、、)


 「とりあえず、、、一旦家に帰るか?」

(流石に3時間ここで待つのは嫌だしな、、)


 「え、、それはちょっと、、、」

(一旦家に帰るとデートの雰囲気が台無しになるから絶対に嫌!)


 「そっそうか、、じゃあどうするんだ?」


 「ここの近くに公園があるんだ、、そこはどう?」


 「公園って、、俺たちはもう子供じゃないんだが、、」


 「だめ?」


 美穂は俺に向かって目をうるうるさせなが見つめてきた。


 「ダメじゃないけど、、、」


 「じゃ決まり!さあいこ!」


 美穂はルンルンと嬉しそうに公園に向かって歩き出した、公園まで10ぐらいで着いた。


 なぜわざわざ公園なのかが疑問に思ったが、公園に着いた途端に理由がわかったのと同時に昔の思い出が溢れ出てきた。


 そうこの公園は美穂と初めて会った公園だった、今の家から遠いと思うかもしれないが実は俺と美穂は昔はこの付近に住んでいた。


 「この公園は、、」


 「ん、わかった?」


 「当たり前だ、忘れるわけない、、」


 この公園でその時本当にひとりぼっちだった俺を1人じゃなくしてくれたのが紛れもなく美穂だった。


 そこから俺と美穂は公園のベンチに座りながら思い出話を話し出した。


 話しているうちにわかったことがあったやはり別世界でもこの世界とほぼ同じ出来事が起こっていたようだった。


 だが、最近日に日にこの美穂がまったく別の人物に感じてしまうようになっている気がする。


 別の世界線からきたといっても結局同じ美穂なのだが、俺が昔から恋をした美穂ではないと思ってしまった。


 それと同時に本当に美穂が死んでしまったことを実感してしまった、美穂が死んでから別の美穂がいたのであまり美穂が死んだ実感がわかなかったが、、、俺が今まで当たり前のようにいた美穂はもうこの世いない事を思い知った。


 「どうしたの?そんな暗い顔して?やっぱり寝不足大丈夫じゃないんじゃ、、」


 と美穂は心配そうに俺の顔を見つめてきた。


 「いや、、なんでもない、、」


 「そう?それならいいけど、、、」


 「そういえば元々美穂がいた世界では俺はどうなってるんだ?」


 俺は気を紛らわせようと、ちょっとした疑問を聞いてみた。


 「えっ、、、まぁ、、普通かな、、」


 「なんだよ普通って(笑)」


 なぜか質問したら美穂の顔が急に暗く悲しそうに見えた。


(え?俺の未来そんなにダメなの、、まさか、ヒキニートになってるとか、、、)


 俺自身が引きこもりになっている未来が案外簡単に想像できたので笑えなかった。


 気になったのでもう一度聞いてみた。


 「まっまさか俺ヒキニートにでもなってるのか?」


 「いや〜どっどうだろ、、、」


 「どうだろって、、俺そんなにダメ人間になってたのか?」


 (いっいえるわけない私が元いた世界で彰人が死んだなんて、、、)

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