第16話:人生初の美容院⁉︎

 家について扉を開けると昨日と同じように美穂は玄関にいたが、前とは違って嬉しそうに、ホッコリとした温かな笑みを浮かべながら迎えてくれた。


 「ただいま、、、今日は疲れたわ〜」


 「おかえり!練習お疲れ様!ささっお風呂入れてるから早くお風呂に入ってくつろいで!」


 「うん、ありがとう」


 美穂は俺が今日の練習で汗をかいて疲れて帰ってくることを予想して、お風呂を入れてくれてたなんて、嬉しすぎる!嫁に欲しいぐらいだ。


 (まあ美穂は俺なんか不釣り合いだから結婚はできないと思うが、俺はどんな形でも美穂には幸せになってほしいと思っている、だからしばらくはこの家にいてもらうが美穂もずっとこの家なんて嫌だと思うし、美穂が独り立ちできるようにサポートしよう!)


 「じゃあ風呂入ってくる」


 「いってらっしゃい!その間にご飯作っておくね!」


 俺は疲れていたのでいつもよりも長めにお風呂に入った、お風呂から上がると一つ不安なことが思い浮かんだ、今日の朝ご飯の量がとてつもなく多かったので昼量増えていたらどうしよう、、、と少しばかり不安なりながらもリビングに向かうと驚いたことに今日の朝ご飯が嘘かと思うぐらいに量が少なくなっていた。


 机の上には美味しそうなカルボナーラが用意されていたが、ひとつ気になることがあった。


 「量少なめにしたんだけどどうかな?」


 「うっうんいいんじゃない?」


 (朝のこと気にしてたんだ、、、でもこれは少なくね?)


 どのくらい少ないのかいうと、オシャレなレストランで頼んだパスタの量ぐらい少なかったのだ(俺はオシャレなレストランには行ったことがないので偏見になるのだが、それぐらい少ない)。


 (一応、俺は普通よりは食べないほうだと思うが、いくらなんでもこれは少ないので、、、)


 ちょっと少なくない?と言おうと思ったがこの流れで言うと、夜ご飯が今日の朝ご飯並みに多くなりそうだったのでいうのをやめた。


 「いただきまーす!」


 「召し上がれ!」


 「このカルボナーラめっちゃ美味い!ちゃんと素材の味が伝わってくる!」


 (このカルボナーラの味は100点中150点を上げたくなるぐらい美味しかったのだが、、、もっと食べたかったなー)


 美味しいので量が少なくて少しがっかりした、頑張れば一口で食べれそうだったが、俺は頑張ってちょびちょびとゆっくり食べた。


 (ゆっくり食べると案外お腹が膨れるんだな)


 「それで明日のデートってどこに行く予定なの?」


 「えっとな〜ラパポートとかどう?」


 ラパポートとは全国各地にあるでかいショッピングモールのことだ、だいたいそこに行けばなんでもあるのでデートにはうってつけだ。

 

 「いいね!服とかどうしよ、、、」


 (そっかあまり美穂に服を買ってあげれてないからな、、、買ってあげるって言っても別にいいよ!って断られたしな)


 「ああ、そっかじゃあ現地調達はどう?」


 「え?」


 「俺もよくよく考えたらダサいTシャツしかなかったしこれを機におしゃれして見るのもいいかな〜って思ってな」


 「うん!いいと思う!」


 「そのあとは適当に見て回れたらと思ってる」


 「じゃあそれで!」


 そのまま俺は食べ終わった皿を洗ってから自室に戻った、部屋に置いてある鏡を見た、当然俺の姿が映っていた。

 

 (なんだこいつ、、、)


 鏡に映っていた俺はいつの間にか髪の毛で目が隠れる一歩手前ぐらい伸びていて、しかも髪の毛はセットしていないのでボサボサだった。


 こんな髪型でデートなんてしたら俺だけではなく美穂まで恥をかいてしまうと思ったので俺は今から美容室に行くことにした。


 「やっべ、、俺こんな伸びてたんだ、、、髪切りにいこ」


 そうと決まれば俺はスマホで近くの美容院を探したがどこがいいのかわからなくて悩んでいた。


 「う〜んどこがいいのやら、、」


 ピコン、とRINEの通知がなった見てみると美穂から美容院のマップが送られてきた。


 『ここおすすめだよ!私いつもそこで髪切ってもらってたんだ!』


 『ありがとう』


 『どういたしまして!』


 『でもなんで、俺が美容院に行きたいことがよくわかったんだ?』


 『えっえっと?なんとなく?』


 『なんだよそれ笑』


 『じゃちょと買い物行ってくるから』


 『じゃあな、、助かったわ』


 そのまま俺は美穂がいつも行っていた美容院に行くことにした、その美容院は案外俺の家から近く学校とは逆方向にあった。


 俺はいつも学校以外あまり外に出ないので美容院の存在を知らなかった。


 歩いて美容院に向かったが5分ぐらいしか時間がかからなかった、外装はザ・オシャって感じの店だった。


 おしゃれな雰囲気でなかなか入れないでいると、後ろから声をかけられた。

 

 「檜山じゃん!私の家の前で何してんの?」


 この声には聞き覚えがあった、振り向くとやっぱり見知った顔がそこにあった美穂の親友の山咲 朱莉あかりだ山咲さんは美穂の中学時代の親友なので一応俺とも顔馴染だ、、以外にも俺たちとは違う高校に行ってしまったが美穂はちょくちょく山咲さんとはよくあっていたらしいが。


(えっ、、ここ山咲さんの家だったの?通りで美穂の行きつけなわけだ)

 

 「ちょっと髪を切ろうと、、、」


 「確かにめっちゃ髪伸びてるね〜」


 「それは置いといてみほっちのこと残念だったね、、、」


 しんみりした顔で言ってきた、、


 「山咲さんの方こそ大丈夫か?」


 俺もだいぶ落ち込んだが、山咲も美穂と親友だったので俺と同じぐらい落ち込んでいるはずだ、、、


 「なんとかね、、、さあ!髪切りにきたんでしょ入って入って!」


 一瞬哀しそうな顔をしたがすぐに作り物の笑顔を作って俺の背中を押して店の中に押し込まれた、やっぱり外装だけではなくしっかり内装もおしゃれだった、俺はそのままオシャレな雰囲気に呑まれながら椅子に腰掛けさせられた。


 「どんな感じにする?」


 「え、、?山咲さんが切るの?」


 「だめ?まだ免許は持ってないけど腕は確かだよ!、、、多分!」


 マジかよ、、、まあ腕が良いなら俺的には構わないのだが、、、法律に引っかかるんじゃね?


 「俺はいいんだけど、、、山咲さん免許持ってないんだったら法律的にやばくない?」


 「大丈夫!大丈夫!練習がてらに切らしてもらうだけだからタダでいいよ!」


 (ちょっと待て、練習って言ったか?これでふざけられて丸刈りとかにされたら俺終わるぞ、、、)


 遅くなると美穂が起こりそうなので仕方なく山咲さんに髪を切ってもらうことにした。

 

 「じゃあ、、お願いするわ、」


 「わかった!」


「あと山咲さんってなんか距離感じるから朱莉でいいよ!私も彰人って呼んでいいよね?」


 「じゃあ朱莉さんって呼べばいい?」


 「ん〜〜〜まっ最初はそれでいっか!」


 「じゃあ切り始めるけどどんな風になりたいとか要望はある?」


 「じゃあざっくりと切ってくれたらそれで、、、」


 「本当にそれでいいの?」


 山咲さんは鏡越しで俺の目を見て俺の本心を見抜いたようだった、流石は凄腕美容師?なだけあるな。


 「えっと、、やっぱり俺に似合いそうな髪型にしてくだい!」


 「ん!任せて!」


目に髪が入るので目を瞑ったまま20分間ぐらいチョキチョキと俺の髪の毛が切られていく音を聞いていた。


 「終わったよ!目を開けてみて!」


 「え?」


 鏡にはセンター分けのイケメンがそこにいた。


 「こっこれが俺?」


 「当たり前じゃん、、元々顔は整ってると思ってたけど、まさかここまで化けるとはね」


 「ここまでしてもらったんだ、ちゃんとお金払うよ!」


 「別にいいよ!私が勝手にしただけだし、でも料金の代わりにRINE交換しよ!」


 「え、、そんなんでいいなら喜んで!」


こうして今日で2人目のRINEのフレンドができた。

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