第12話 学校へ

「ごきげんよう、ムンちゃん!」

「うるさ!朝から何?」

 ルオフィア様の声にうるさそうにしているのは土の国女王、ムン土丹チューダン様である。

「わたくし、梦ちゃんの言った通りの占いで見事!的中することができましたわ‼占いって面白いですわね!」

「…あぁ、だいぶ前にやったやつね」(マジで当たるやつとかいるんだな…)

「そう!”ムン!ちゃんねる”第537話の雑談のときのですわッ‼」

「話数まで覚えなくていいよ気持ち悪ィ」

「今度総会のときにでもお礼させていただきますわ!それでは」

 通話を切りルオフィア様は髪の色が青から変わり、元のブロンズに戻った。


「はぁ…相変わらずめちゃくちゃなだな」

 梦様も白色の髪が黒く染まり、元の姿に戻った。


「いい湯だった~」

「そうじゃのう」

「服まで用意してもらって…至れり尽くせりだね」

「わしはなくても問題ないんじゃがな」

 3,4人の従者がアイリスの分も含め3人分の衣服を準備してくれた。

「朝食の会場へと案内させていただきます」

 アイリスが2人を案内して部屋の外に出る。その後ろを従者が続く。

「ずいぶん長い通路じゃのう。1日で掃除終わるんかのう?」

 廊下は歩いても歩いても突き当りが見えず、遠くの景色がかすんで見えるほどであった。従者の一人が、

「ここはドラキュル様が管理なさっているところでございますので、部屋は無限にあるともいわれております。どういった魔法かはわかりかねますが…」

「これも魔法なんですね、すごい!」

「わたくしども含め数多く従者はおりますので、どの部屋も快くご利用いただけます。ご安心くださいませ」


「到着いたしました。席についてお待ちくださいませ」

 長い机の上には皿、カトラリー類がすでに並んでいた。正面はガラス張りとなっていて、街の様子が一望できた。従者は椅子を引いてアゲハとミヨを着席させた。

「お待たせしました。朝餉あさげを始めましょう」

 奥の扉から背の高い長髪の女性がそう言って歩いてきた。彼女の横にはシェフィル、その後ろにクークラル、ドラキュルが続いていた。シェフィルが彼女を席に着かせた後、3人はアゲハたちと向き合うようにして着席した。

「皆さん、おはようございます。本日はルオフィア様のお客人がいらしております。私もお会いするのは初めてとなります」

 アゲハたちのいる方を見て、

「アイリス、そのお二人を紹介してくれますか」

「花見アゲハ様、ミヨ様でございます」

 手で示しながら紹介する。二人も会釈をした。

「初めまして、私はこの国の女王レディ・ミストリアと言います。どうぞよろしくお願いします。いろいろお尋ねしたいことはありますが、まずは食事としましょう」


「お二人はどちらから来られたのですか?」

「日本から来ました。あ、アゲハです」

「日本、ですか…失礼ながら初めて聞きました。どういったところなんですか?」

「どう、なんでしょう…少なくとも魔法は見たことないです」

「やはり予言の通り異界から来られたようですな」

 クークラルが納得したようにつぶやいた。

「予言って何ですか?えっと、レディ…様?」

「はい、予言は私がルオフィア様のときにされたようです。予言には、


『異界より 人と獣人の娘 至る

 人 大人 なれど 初に魔を発す

 これ 御世の祝福なり』


と記されていました。この記述とお二人の状況が似ておられるということなのです」

「?ルオフィア様って誰ですか?」

 周りにいた従者がざわつきだした。シェフィルが軽く咳払いをして、

「そうですね…そこから説明しなくてはいけませんよね。失礼ながら簡単に申しますと、レディには2つの精神が流れておられるのです。レディとルオフィア様でございます」

「やはり昨日来たやつと同じ人間じゃったんじゃのう」

「厳密には私のもう、ルオフィア様は人の人格ではございません。ルオフィア様はこの都市が聖地と呼ばれる所以、水の根本である神様でございます」


「ルオフィア様がお二人をどのようにしたいのかは私にもわかりかねますが、お二人は今後どのようにいたしたいですか?」

「私は…日本に帰りたいです」

「わしはどこでもいいかのう。じゃが、アゲハは気がかりではあるのう」

「わかりました。お二人の力となれるよう私たちも後押しさせていただきます」

「ありがとうございます!」


 朝餉が終わって、アイリスが部屋まで案内するといった。そこへクークラルがやってきて、ある提案をしてきた。

「クークラル・ミュー・ハットラスでございますな。

アゲハさんにミヨさん、是非ともの学校に

いらしてもらえませんかな。生徒たちも喜びますな」

「学校があるんですか!行ってみたいです‼」

 即答だった。


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