第11話 朝餉前

「ふぁ~よく寝た」

アゲハが目を覚まし、あたりを見渡した。窓からは朝焼け色の光が部屋に差し込んでいた。

「ここ、どこだろう」

 隣を見るとミヨが寝ているのに気が付いた。手足を投げ出した豪快な寝相だった。


 部屋の外からノックをするのに気が付き、アゲハは扉を開けた。部屋の外にはメイド姿の女が立っており、膝を軽く曲げて言った。

「おはようございます。わたくし、お二人の身の回りのお世話をさせて頂きます、アイリス・タウ・ムートと申し上げます。アイリスとお呼びくださいませ」

「おはようございます、花見アゲハと言います。

 えっと…アイリスさんに質問してもいいですか?」

「何なりと」

「ここはどこなんですか?」

「こちらは王城におけますナツメの間でございます。

お二人は我が国の女王陛下、ルオフィア様のお客人として招かれております」

「女王⁉…様ってことはこの国の王様?…なんで⁇」


「ところで、もうお一方はおられますか?」

「ミヨなら…まだ寝ています」

 ミヨが寝ていたベッドの方を振り向いて言った。

「では再度お伺い…」

「起こして来ます!」

「⁉いえ、まだ時間は…」

 アイリスが言い終える前にアゲハはミヨの寝るベッドの前についていた。

「起きて、ミヨ!起きてー」

「…うーんあと5時間」

「昼になっちゃうよ!起きてー」


「まったく…猫のままでおればよかったわ」

「猫になってもしっぽでミヨってわかるよ」

「…それで、そこの娘は誰じゃ」

ちらりと見てミヨが尋ねる。

「アイリスさん、メイドさんだよ」

 アイリスは出会った時と同じように礼をして、

「アイリス・タウ・ムートと申します、アイリスとお呼びください」

「昨日おった従者みたいなもんかの」


「ところで、アイリスとはどんな用で来たんじゃ?」

「わたくしアイリスは、お二人を朝食にお招きする準備をさせていただきます。ミストリア屈指の大浴場へ案内いたします」

「お風呂⁉」「風呂か…」

 アゲハとミヨが真逆のテンションで言った。


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