第24話 距離
なぜか佐藤と香に距離を感じる。
重たい空気をまとっている。
なんだろう。思わず大塚は顎を伸ばし赤いタオルを首に巻いた。
「元気でしゅかっ!」
「……」
すべった。イナバウアーくらいすべった。
静かにタオルを、ほんのりイカ臭いマットに置いて観察した。
佐藤は香を見つめ、目が合うと急いでお互い顔を伏せる。
土屋を裏に召喚した。
「あいつらに何があった?」
「な、何もないでごわす!お菓子とお茶で話しただけでごんす!」
「ふむ…しかしなぁ、あれは何かないとおかしな現象だぞ」大塚は腕を組んで考える。
「奇跡的に両想いになったんじゃないでごんすか?」
「堤先生のとこはどうだったんですか」
堤の両手にはマル☆ちーず様の作品とペペロンチーノ♡様の作品が握られている。
「…うちは今時珍しい見合いだ。しかもめちゃくちゃ嫌われていた。子供が出来てから目も合わせていないし会話もない」
「かわいそう…」と大塚と土屋は息を合わせて言った。
部室に戻ると女の佐藤と香、あおいが話していた。
でもどこかぎこちない。あおいがいなかったら話せていないだろうなと思う。
「かおりん今日はどうするん?」
「き、今日は帰ります…」互いに目を合わせないまま下校となった。
香は逃げるようにグラウンドを歩いていく。
「かおりん待って」佐藤が呼び止めた。
「昨日はごめんね。急で驚いたでしょ?反省してる」男の声だ。
「私こそ不慣れで驚いてしまってすみません…」
しばらく立ち尽くしていたが、大塚と土屋がポールに来たので、二人とも逃げるように学校から出た。
「待ってかおりん、もし、良かったらボクと付き合ってほしい」香の手を握る。
佐藤はほとんど泣いている。もしかしたらこれが佐藤の初恋なのかもしれない。
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