第23話 ファーストタッチ

今日も今日とてやる事がない。

あおいなんてとうとうマル☆ちーず様の作品を読む始末だ。

「こんなロリが巨乳なんてありえねえっつーの。お前ら夢見すぎだわ」

「夢を見るためのエロ本だ」堤は今日も厳格だ。

そうだそうだと大塚も土屋も頷いている。


もう季節は夏に近い。夏と言えば水泳、薄着、チラリズム。

大塚が一番輝く季節、夏!

土屋は冬の萌え袖ミニスカートが好きらしい。

男の姿の佐藤は今日も香に夢中だ。


「かおりん、今日はうち来ないー?」

皆一斉に振り返った。

「さ、佐藤先輩まさか…でごんすか」土屋はバイブレーション機能がオンになった。

「清い交際だもん、ねー」

「は、はい…」顔を赤くして下を向いた香は恋する乙女のようだ。


佐藤はたしか一人暮らしだ。そんな危険地帯に香を連れていくわけにはいかない。

「俺たちも行く」「ごわす」「うむ」

「えー空気読めないー邪魔だよー」佐藤はいじけている。男でも可愛い。

「せんせーまでくるわけ?うちそんな広くないから代表者決めて」

じゃんけんで代表者は土屋に決まった。


「つっちー遅かったら置いてくよん」佐藤も香も歩くのがとにかく早い。

土屋の膝は悲鳴をあげている。もうやめて。土屋のライフはもうゼロよ。



「ここだよー。汚くてごめんねー」

古いアパートの二階だった。8畳の部屋にキッチン、風呂、リビング、寝室と全部ある。

「つっちー座布団とかないから適当に座ってー。かおりんはここ」ベッドをポンポンと叩く。

香はきょろきょろと周りを見ていた。

土屋は息が上がって汗が止まらない。「もうダメでごんすぅ!」

「コンビニ行ってきてジュースとか買ってきてよ」佐藤は財布を土屋に投げる。

土屋は干物状態になりつつフラリとコンビニへ出かけた。



その間に佐藤が香にキスをしたのは二人しか知らない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る