第11話 楽しい楽しいハロウィン顧問

もうすぐハロウィンパーティがある。

ここの高校では各部で催し物を出すシステムだ。

ムッツリ部もどうしても出たい。だがムッツリでは出れないジレンマ。

という事で、部室でのみ行うことにした。


ダンボール製のイカの被り物を大塚が、あれの被り物を土屋が、アワビの被り物をあおいが担当した。ちなみにあおいは自分がアワビだという事を知らない。

あおいに突進しては殴る蹴るの暴行を嬉々として受ける。

カオスだがそれが気持ちいい。


楽しく暴行を受けていたら部室のドアが静かに開いた。

そこには厳格な国語教師、堤が立っていた。


もう駄目だ。さよならムッツリの日々。

「何をやっているんだ。ムッツリとは何だね」

片方が剥げ、落ちそうになっている「ようこそムッツリ部へ」という看板が風に吹かれていた。立ち尽くす三人はイカ、あれ、アワビ。


「いえあの、これは遊びで…」大塚がしどろもどろになっていると、あおいが背中に蹴りを入れてきた。

「おいここ野球部じゃねえのかよ!」あおいは新調した眼鏡をかけると看板を見る。

「ム、ムッツリ?なんだそれ…」


終わった。確変どころかむしろ単発にしたら良く出た方だ。

「ここ、これは!?」堤はエロ本の山を見た。

「こ、これは皆で持ち寄って美術の鑑賞を…」


堤の顔色が変わり「これは!私の好きな作家の新作じゃないか!」と食いつき一つのエロ本を手にした。

土屋の目が光る。「…マル☆ちーず様の作品はロリ、サキュバス物ですな…」

堤と土屋はガッと腕を組んだ。

「他にもありますよ…」大塚が隠していたエロ本を見せると堤は子犬の様に輝いた。


「気に入った!誰にも言わないでくれるなら、ムッツリ部の顧問をしようではないか!」


「貸本は三日だけですよ…」

「…ポールもあるでごわす…」

「なんだそれは…!!」

男三人の会話をあおいは退屈そうに眺めていた。


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