第8話 続・眼鏡はやめて
「ったくデブの野郎。腹痛なんか起こしやがって」あおいが一人で部室に来た。
「つつつ土屋君大丈夫かな」大塚は女人と二人きりになりロボットダンスのように動く。
「そ、そういえば聞きたかったんだけど。土屋君って芸能人で言うと?」あばたをこしらえた「まいう~」の人そっくりなのだが、あおいは顔を赤くして「ちょっと太った窪塚洋介」と答えた。
やはりか。ド近眼のあおいを窪塚洋介に見せているなんて卑怯だ。
「ちなみに僕は…?」「んー北村一輝かな」確かに顔のパーツは濃いが決して北村一輝ではない。北村一輝が300回殴られても大塚の顔にはならないだろう。
なるほど、イケメンに見られるのは嬉しいことだ。それにあおいは近付かないと見えにくいために顔と顔を接近させることもしばしばある。
俺は北村一輝。土屋は窪塚洋介。
そして近寄った時にキッスがしてみたい。
「今日も練習なしか?」あおいが眼鏡を取り出した時に「あ、手がすべっとぅあ!!」と叫び眼鏡を足で踏んで破壊した。
「テメー、デブと同じ事しやがって!これ高えのにツルツル手やら足やら滑らせてよー!!」あおいは大塚の顔に近寄ったが、これは見えないからではなく、明らかに睨んでいる。
「ごめんなさい。弁償します」大塚には赤と白の丸くて長いあれを買う貯金がある。
「もー別にいいよ、眼鏡も度が合わなくなってきたしな。目良くなってきてるし」
土屋はいない。あおいの目は良くなってきている。リーチだ。今しかない、いつやるの?今でしょ。
あおいが近付いてくる。大塚は唇を尖らせ思い切り目をつぶる。
大塚の歯があおいの鼻にぶつかり、
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