第2話 遠征

いよいよと3月後半になった。

ムッツリ部新入生歓迎、と書かれた手札も作り終え、大塚は「遠征」と称して女子サッカー部を覗きに行く。 

色気が無いぶん、油断がある。

舐めるように女子の焼けた肌を見た。

一人がブラジャーの隙間を掻こうと大きくシャツを捲った。


「うん、加藤さん、今日は黒ってわかっていた…。」

小さな股間が疼く。

これは早く部室に戻らなければ、と思う反面、これではムッツリに反するのではないかとも思う。

答えはそうだ、そういう行為自体ムッツリ道に反する。そのような獣であってはならない。


大塚は上り棒のようなポールに股間を押し付け、上がっては落ち、上がっては落ちを繰り返した。くすぐったく、じれったい。

ご馳走様です!と叫ぶとサッカー部の女子が大塚に気付いた。


「キモ塚がまた来てるぞー」

「キモ塚どっか行けよ!」皆が一様に服装を正す。


つかつかとサッカー部の顧問、関谷が大塚の前に来た。

身長は高く、もう少しかがめばパンティーが拝めそうだ。

「大塚君?よね?何しに来てるの…」両手を膝に乗せ、チラリと覗く谷間はまるで神の悪戯か。

「ぼ、僕は、びび、美術部でえええ遠征で」

大きくため息をついた関谷は無言で去って行った。


どうも大人の女人は苦手だ。夜のおかずにはなるが。


関谷の背中を見て、小声でポツンと「ご馳走様です」と言った。


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