ムッツリ部

村崎愁

第1話 ムッツリが全て

大塚は体育館の用具入れの更に奥にある部屋で、ドアの隙間から女子バレーボール部のブルマから覗くパンティーを探していた。

「今日は見えねえな…あ、でも」女子がアタックをしようとする時にちらりと見える横腹。

「俺の中の俺にナイスアタック!!よし!…しかし、一人は寂しいもんだ…」

もうすぐ4月。4月といえば新入生。

大塚が勝手に名付けた【ムッツリ部】。これは公表していいものか、募集してもいいものか。

帰宅部というバッジでもあればわかりやすく勧誘できるのに、と肩を落とす。

これは意地でも新入生を入れなければなるまい。


大塚も過去にはバスケ部に入っていたが、バスケ部はとにかくモテる。

モテると期待し、土下座をして入部したのに不細工で低身長の大塚は他の部員の引き立て役にしかならなかった。思い出すとコブシに力が入る。


新入生に向けて絵具で「ようこそムッツリ部へ」と書かれた紙でできた看板を掲げる。

それっぽく見えてきたではないか。

そうだ、3か条でも書いておこう。

1、女人禁制

2、イケメン禁制

3、ムッツリに限る

この紙も壁に画鋲で張り付けると随分部活っぽくなってきた。


終わるとすぐに大量に重ねてあるエロ本を流し見る。

「このパイはダメだ。でかすぎる。もっとこう、蕾みたいなやつがいいな」と一人でニヤニヤと笑う。


乱暴にエロ本を置き、天井を見上げるとため息がこぼれた。

一人でムッツリ部を開いて早1年。新しい風がほしい。


大塚は何かを決心し、立ち上がりゼブラのボールペンで1、女人禁制にバッテンをつけた。

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