第51話 魔核の吸収
ハリエットさんが落ち着くのを待ちながら、俺は
「もう大丈夫。少し予定が狂ったね(汗)」
「大丈夫ですか?このまま引き上げても問題ないので、無理だけはしないでくださいね!」
「うん、本当に大丈夫だよ!先へ進もう」
本人が大丈夫と言うので、ダンジョンから戻る訳にも行かないのでマッピングを再開した。俺の予想では少し無理をしてる感じがするので、ゆっくりと
分岐点が見えてきたので、
「分岐点があるのでどっちから音がするのか判らないね。軽い音を立てて僕達の方へ呼び寄せるので、球状で突っ込んで来る事を想定してくださいね!」
「OK!ウォードも注意するだよ?」
「はい!行きますよ!」
『カンカン!』
俺は金属製の籠手を短剣で軽く叩いて音を鳴らす。ダンゴムシが音に気づいてこっちへやって来るのを待つと、『カサカサ……』球状ではない移動音が聞こえてきたので、ハリエットさんに指示を出してから剣を構えた。
「普通の状態みたいです。見えたら頭に魔法を当ててください」
「OK!準備は出来てるよ」
徐々に移動音が大きくなり、俺達の視界にダンゴムシが入ってくると、ハリエットさんが魔法を唱えてダンゴムシの頭に直撃する!
「行くよ!〚
『ガコン!』「キィー」
ダンゴムシが仰向けになったのを確認してから、俺は素早く近づき腹部に剣を突き立てる!
『ザシュッ』「キシャ……」
魔石と黒い玉を残して消滅した。
初めて見るドロップなので、手にして【鑑定メガネ】見たけど何か判らなかった。ハンター協会出張所には鑑定士が居なさそうなので、これが何か判る鑑定士が居る町に着くまで
「それは魔核よ」
「魔核?」
「物凄く珍しい物なのよ。魔物の力が凝縮された物で、魔物が魔核を吸収するとその力を得る事が出来るのよ」
母さんが魔核の事を知っていた。母さんも俺と同じで本を読むのが好きだったのかな?そんな本があるなら見てみたいので、知っていて理由を聞いてみた。
「よく知ってたね。前世で読んた本の記憶が残ったの?」
「違うわよ。魔物の本能や習性と言えばいいのかな?見たら頭に浮かんだのよ(笑)」
吸収すればその力を得られるなら、母さんが吸収すれば強化される。そうなれば母さんの安全に繋がるから吸収してもらおう思った。
「そうなんだね。この魔核は母さんが吸収すればいいって事だね」
「大きな都市へ行けば高値で売れるかも知れないわよ?」
「母さんの命を守る力になるかも知れないんだよ?お金なんかより母さんやハリエットさんが大事に決まってるじゃないか!だから魔核を吸収して欲しいんだよ」
「判ったわ。遠慮なく吸収させてもらうね♪」
母さんは俺の手に乗り、手にあった魔核を吸収する。俺から見た感じでは、身体的な変化はないみたいなので、【鑑定メガネ】で母さんを確認してみる。
【名前】パミュル
【種族】スライム
【体力】1500→1750
【魔力】3000→3100
【天賦】〚変化〛〚風魔法〛
【通常】〚外殻〛
「母さんに通常で〚外殻〛のスキルが増えてるよ。体を外殻で覆えるのかな?」
「試してみるわね。〚外殻〛!」
ゼリー状の柔らかそうな体から、硬そうな外殻が体を覆って鎧を装備してるように見えた。
「凄い!これなら物理攻撃を殆ど防げそうだ」
「私はウォードの剣と盾になれるのね♪」
「パミュルさん、ウォードをしっかりと守ってくださいね!」
「えぇ、任せてね♪」
母さんは魔核を吸収した結果。通常スキルの〚外殻〛を手に入れる事ができた。これからは俺の剣としての攻撃だけじゃなく、盾として俺を守ってくれる事になったんだ。
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