第9話 上手く行かない人生だった…
スタンピードの発生で街へ魔物が迫っていた。
「セナ、スタンピードで魔物が迫ってる。男爵邸か教会へ逃げるよ!」
「判った、急ぎましょう!」
俺はセナの手を引いて移動する。男爵邸を目指すが既に魔物が押し寄せて進めないので、教会へと進路を変えた。まだ、こちらへは魔物が来てないので順調に進めて教会が見えてきた。
「セナ、あと少しで協会だ!頑張って走るよ。」
「はぁ、はぁ、判った。」
教会の目の前まで着いて助かったと思ったら、
「きゃっ…」
セナが転けてしまった…直ぐに立たせて進もうとするが、ゴブリン達に追いつかれた。『ドンッ!』俺はセナを教会方へ押して、剣を構えてゴブリン達に立ち向かった。
「セナ、僕が食い止める!早く教会へ逃げるんだ!」
「ウォード!」
「僕も後を追うから早く!」
「約束よ?必ず来てね!」
襲い掛かるゴブリンを一体斬り伏せ、セナが教会の中へ入るの確認して安堵する。更に三体のゴブリンを斬り伏せて教会へ向かって入ろうとするが…門は固く閉じられていた。俺は門を叩く。
「ドンドン、門を開けてくれ!」
「神父様、まだ外にウォードが居るんです!門を開けて下さい。私を助ける為に魔物と戦ってくれたんです!」
「それは…出来ない。今、門を開けると教会の中に魔物が侵入してしまう。1人の為に全員を危険にさらせないんだ…」
「そ、そんな…ウォード…」
門の外に居た俺にも神父の声は聞こえた。俺の為に門を開ければ、セナの身に危険が及ぶ。
「セナ!僕に愛を教えてくれてありがとう♪僕は少しでも魔物を倒してここを守るよ!」
「ウォード、そんな…あなたを愛してるわ!」
あぁ、セナの言葉を聞いて心が満たされた。
本当に、驚くほど上手く行かない人生だった。
俺は押し寄せる魔物を倒し続けた。身体中が傷だらけに成りながらも倒した。やがて左腕腕を食いちぎられたがそれでも魔物を斬る。どれだけ時間が経っただろうか…スタンピードが終わった頃には、右足も失っていて虫の息だった。
門が開くとセナが俺の元へ駆け寄って抱きしめてくれた。
「ひゅー、ひゅー、セナ…無事で良かった♪」
「ウォード…あなたの居ない人生なんて…」
「ラ、ラミュルの帰る場所を…たのむ…」
「ウォード、ウォードォ~」
最後は愛する
上手くは行かなかったけど良い人生だったかな?死に間際に神に祈った。
『もし、輪廻転生があるのならば贅沢は言いません。俺に〚幸運〛を授けて下さい。』
こうして【ウォード.レーカー】は11年という短い生涯を終えたのだった…
➖➖➖第一章 完➖➖➖
8/27より第二章を開始します。
楽しみにお待ち下さいね♪
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