第5話 家族の為に

 父の死を知った義母セナは、酔いが覚めて自分とラミュルの身の振り方を心配する。

 国からの通達が来るまでは屋敷で住むが、新たな男爵が据えられる場合は、弔慰金を渡され平民として生きて行く事になる。


 父の死から2週間が経ち、遂に国からレーカー男爵家の処遇を伝えられる。


「レーカー男爵家は後継に値する者が未成年の為、男爵位を抹消して新たに【ヤンカー男爵】を据え置く事とする。レーカー男爵の遺族には弔慰金が支給される。」


 全て予想通りの結果だった。今日この時より俺達3人は貴族から平民となった。義母セナは呆然としていて蛻の殻となっている。隣ではラミュルが不安な顔して義母セナを見ていたので、俺は2人に声を掛けた。


義母セナさん、先ずは弔慰金で住む場所を見つけよう。ラミュルが不安な顔をしてるから、僕達がしっかりしないと!」

「ウォード…そうね。住まいを見つけてこれからの事を考えないとね…」


 執事長が、気を利かせて知り合いを紹介してくれたので、何とか格安で好条件な借家を借りる事が出来た。弔慰金を無駄に使わなければ数年は暮らせると思う。


 1番の問題は収入だった。ラミュルは2歳とまだまだ母親が居ないと何も出来ない。義母セナが働けないので俺が稼ぐしかないのだ。あと少しで6歳になるが、子供に出来る仕事なんて殆ど無いんだよな…

 殆ど無い仕事の中で最初に思い付いたのが【ハンター】だった。ハンターとははっきり言えば【何でも屋】だ、人の手伝いから魔物の討伐まで様々な事を依頼金で行うのだ。

 手伝いや採集くらいなら、子供の俺にも出来るはずだと思った。たいした稼ぎは無理だけど、無収入よりはマシなので、ハンターになる事を義母セナに伝える。


義母セナさん、稼ぎは少ないかも知れないけどさ、僕はハンターになるよ。義母セナさんはラミュルの傍に居てあげて。」

「ウォード…私はあなたに…」

「何も言わないで、僕は確かに義母セナさんの子じゃ無いけど、ラミュルは僕の妹だから2人で頑張らないと。」

「ウォードありがとう…ラミュルの為に頑張りましょう。」


 義母セナと話してから俺はハンターになる為に【ハンター協会】へと向かった。


 6歳を前にして労働者とか…俺の人生は本当に上手く行かないな(汗)

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