第2話 束の間の幸せも…
俺が生まれて1年間が経った。
父は俺に元々屋敷のメイドをしていた【セナ】を乳母として迎えて、身の回り全ての世話を任せた。
自身が男爵として小さいながらも領地の運営等に忙しく、一人では俺を立派な跡継ぎに育てる事が出来ないと判断したからだ。
なので俺には母の記憶が無かったので、紫の髪に緑の瞳をした美しい女性を母のように慕っていた。
父は忙しくても時間が取れれば必ず俺との時間を作ってくれていた。
まだまだ小さくて鍛錬等は出来ないが、小さな木剣を握らせて遊んでいた。
「いいぞ、ウォードの武術センスは俺を超えてるぞ♪本当に頼もしいな。」
「あば、あぅ~♪」
「パミュルには魔術の才能があったから、魔術の教師を探すのもいいな♪」
「ばぅ、ばぁ♪」
「そうか、判ったよ。言葉を覚えたら魔術の教師を付けると約束するぞ♪」
俺にとって、この時期が唯一の幸福だったと言える期間だった。
それから2年が経つと俺の環境は大きく変わって行った。
3歳になった俺には新しい家族が出来ていた。乳母だったセナが父と再婚して、主人と乳母の関係から親子となった。父とセナの間にも女の子が生まれて、俺に妹【ラミュル】が出来たのだ。
この頃から
よくある事だが、腹を痛めて産んだ子供の方が可愛いのは当たり前だよな。父の前では猫を被ったように俺を可愛がるが、居ない時は放ったらかしで全ての愛情をラミュルへ注いでいた。
メイド達も女主人を怒らせると職を失うので、父へ現状の報告が出来なかったのだった。
そして、俺が3歳になって言葉を理解できるようになったので、父は約束通り家庭教師を付けてくれる事になった。家庭教師は
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