第6話 避難④
体育館から校舎の三階と四階に逃げる。
どういった経緯で校舎内に避難するに至ったのかは覚えていない。
いつ避難してきたのかわからない大人の声。津波という単語。何が起こったのか分からない子どもの普段通りの声。
沢山の人並みに押し流されながら好奇心が勝り、窓から外をのぞいた。
校門から何かが見える。
黒い得体の知れない塊。誰かが発する津波という単語と緊迫した空気から、まさにそれだと認識するにはそう時間はかからなかった。
それまでの好奇心が消え、代わりに恐怖が心を埋めた。早く上に。少しでも高い場所に、の一心で階段を駆け上がる。階段を上り教室に避難するまでの記憶はない。それほどまでに逃げないといけないという思いでいっぱいだったのだろう。
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