第2話 地震
地震が起きたのは、クラスでお楽しみ会の催し物の中の一つである、「フルーツバスケット」をしている最中だった。
机を四方によけ、教室の真ん中に円を描くように並べられた椅子。子どもの楽しそうな笑い声。また椅子に座ることができなかったという落胆混じりの笑い声。とてもいい雰囲気で、卒業前、最後のお楽しみ会だったと記憶している。
「揺れてる?」
クラスメイトの誰かが教室の揺れを指摘した。皆が、座っている椅子、床に意識を集中させながら各々が顔を見合わせた。
その時だった。
激しい揺れが私たちを襲った。担任の先生が頭を隠してなのか分からないがドアを開け避難経路を確保しながらこちらに呼びかけている。
物が揺れ、こすりあわさっている音だろうか。避難訓練時に流れるような地震の音が大音量で耳に届く。椅子に頭を隠しながらしがみつくだけで精一杯だ。椅子が大きく円を描くように動く。それだけでなく、少し弾むような感じもした。
突然の出来事に頭がついてこない。地震の音に混ざり、子どもの泣き声も聞こえてくる。今までに体験したことのないくらい大きな地震であるということは理解していた。
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