君に会えるまで

成田

第1話 プロローグ


 私は今日も君に会いに行くことができない。何も最後らしい言葉を交わすことができないまま離ればなれになってしまい、それっきりだったから。尚更君と顔を会わせることができないでいる。


 数年前のことである。

 東日本大震災と呼ばれる巨大地震。当時小学六年生で卒業式も間近に控えていた私たちは、今まで経験したことがないほどに大きな地震がきたという認識しかなかった。

 突然の出来事に震え、泣くという手段で感情の共有をしていたとしても、また明日も皆で笑って学校に通い、無事に卒業式をあげるものだとばかり思っていた。それが間違いだったのだ。


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