第54話 我が輩虚飾になる
我が輩は元々は簡素な服を好み着こなしていたが今は違う。
豪奢なドレスを身に纏い、宝石をこれでもかと指に嵌め、自らを着飾っていた。
だが、その様は幾ら着飾ったとしても以前のような姿と比べると、偽物染みたものとなっていた。
そう、所詮は虚飾であった。
どんなに豪奢なドレスに身を包もうとも。どんなに煌びやかな宝石を身に纏おうとも、それは何処か虚ろで意味のないものでしか無かった。
それを一番理解しているのは我が輩であるがそれでも着飾ることを辞めることが出来なくなっていた。
最早我が輩にとって自らを彩るドレスや宝石がなければ落ち着かなくなっていたからだ。
我が輩は自らの感情を最早支配できておらず、唯々その感情の赴くままに行動するのみであったのだった。
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