第五章 未曾有の存在へ

第50話 我が輩の軍充足する

 神聖教皇市国が各国を協調させるのに時間を割いてる最中、我が輩達は着実に眷属の充足を終えていた。

 そこには、四百三十五万四千六百三十五名にも及ぶ眷属と兵士達が存在していたのだ。

 最早軍の規模としては破格の物となっていた。

 さらに言えばこれらの維持は兵士・眷属自らが行っており、民間人等というものが存在しない脅威の軍団であった。

 つまり、軍の維持をするために銃後の世界が存在しないのだ。

 補給も兵站も気にせず戦争でのみ完結できる脅威の軍団、それが我が輩の吸血鬼軍団であった。

 だが、問題もあった。

 それはあまりにも増えすぎた眷属達の飢えである。

 そこで眷属達は牧場を作ることにした。

 そう、人間や魔物の牧場である。

 これにより新鮮な血や魔臓を手に入れることに成功する。

 人間を他国か攫ってきて繁殖させ、その血肉を啜る吸血鬼達。

 我が輩の魔王化も進行が著しいが、その配下である軍団もまた、その魔王の配下として相応しい悍ましい集団となりつつあった。

 だが、これは他国にとって脅威と映ることになってしまう。

 神聖教皇市国が難儀していた各国の協調がスムーズに進むことになる要因になってしまったのだ。

 そして、この世界の有史以来初めての北方大陸全土を巻き込んだ大戦争の幕が開くのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る