第46話 我が輩暴食になる

 もっとだ、もっと持ってこい!

 足りないぞ!

 我が輩がさらに成長する為にはこんな程度の量では足らん!

 もっと、集めてこい…もっとだもっとだ…


 そこには人間と魔物の屍山が存在していた。

 そして、その傍らで血を啜り肉を食い破り、臓物を食む化け物が一つ。

 強欲に加え暴食の感情に支配された我が輩の姿があった。

 その美しい顔を血みどろに彩り、人間を魔物を喰らうその様は、最早過去の我が輩からは想像も出来ない程理性も知性も感じられない物だった。


 したたり落ちる血は身体までも彩り、筋と成って口元から足下へと垂れて行っている。

 だが、そんなことなどお構いなしに我が輩は喰らう…ただ喰らう。

 更なる成長を目指し、本能の…欲の赴くままにただ喰らう。

 眷属達に国を攻めさせて人間を集めさせ、森に分け入り魔物を集めさせる。

 そうやって集められた物をただ喰らう。

 だが、それだけ喰らい続けても、我が輩の美しさは損なわれることはなかった。

 血に濡れた妖艶な我が輩がそこには居た。

 ただ、そこに理性があるか怪しいだけで、我が輩は確かにそこに存在している。

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