第30話 呆気ない滅亡
タックス王国辺境の村々が次々に襲われているのに敏感だったのは、当事者であるタックス王国首脳陣よりも、他国の密偵達であった。
そして、この事態を鑑みて他国の動きは活発化することになる。
謎の勢力とは言え村々を襲い壊滅させる勢力。だが、襲っているのはタックス王国の村々のみ。
であるならば、これを好機と捉えずとして何とすると言わんばかりに進軍の準備を始める。
そして、調査を進めれば目の上のたん瘤であったハンターギルドの衰退も見えているではないかと。
しかし、そこには一つのパーティーが存在していた。
暁の戦士
万軍に匹敵する戦闘力を持つと言われるタックス王国の切り札である。
そこでタックス王国の周辺国は秘密裏に共謀し、同時に宣戦布告を行う事を決定。
タックス王国は周辺を囲う各国家から同時多発的な宣戦布告を受け、戦線を複数抱える事態に陥ってしまうのだった。
だが、そこで出てくるのが暁の戦士だ。
次々と戦場を移動し戦線を維持することに成功させる。
だが、無理というものはいつかは訪れるものだった。
それは酷く呆気ないものだった。
ある戦場で一人欠け、ある戦場で一人欠けとあっという間に戦闘能力を消失させていく暁の戦士。
最早戦線を支えるだけの戦力は無くタックス王国は滅亡してしまった。
王族は皆殺し、ハンターギルドも解体され、嘗ての王国の領土も各国に割譲される始末。
地図上からタックス王国の名が消えたのである。
この原因を作ったのは確かに我が輩であろう。
だが、我が輩にその企図はなく、ただ成長する為に行ってきた様々な事柄が、タックス王国にとってネガティブな結果を伴うものばかりだったと言うだけの話し。
無自覚な悪意によって、タックス王国は滅亡したのであった。
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