第28話 我が輩村を襲う
小規模ながらも戦力の拡充も問題なく終えた我が輩達は村を襲うことにした。
今までの様な行商人や魔物等の様な小規模な集団でもなく、野盗の様な後ろ暗い者達でもなく、拠点を確保した国家に属する一組織を狙うのだ。
戦力が拡大したことにより村の住民を逃がすことのないように周囲を封鎖することが出来るようになったことを理由として今回の作戦を思いついた。
さて、そんな訳でやって参りましたは開拓村。
事前の調査により国の中でも辺境の位置に属しており、例え襲われたとしてもその情報が他の村等に伝わるまでに相応の時間が掛ることが予想されている開拓村である。
我が輩達もこの戦力規模での戦闘は初めてなので、ある種演習のような面持ちで取り掛かれるように攻略対象を選出した。
そして決行に移される軍事演習という名の実戦であった。
此方の陣容は我が輩の軍による包囲により、村人が逃げ出さないように網を張りつつ、女男爵五人衆による多方向からの同時多発攻撃を行うという形だ。
実際問題として、余程のことが無い限りはこの作戦が失敗すること等ないだろう。
そして作戦は見事成功する。
我が輩達は一つの小さな開拓村とは言え、国家に属する一組織を確かに撃滅せしめたのだった。
後はこの成功例を元にして様々な事柄を洗い出し、次に繋げるべく眷属達と作戦の洗い直しを行う予定だ。
だが、まずは勝利の美酒…血に酔いしれようではないか。
これを機に我が輩達の行動はどんどんと過激になって行くことになる。
最初の頃は、安全を第一に考えた作戦が立案され施行されていたのだが、だんだんと大胆な作戦行動が取られるようになって行く。
タックス王国外縁の開拓村から徐々に徐々にと国家中枢へと近づいていく作戦目標。
最早この段になってくるとタックス王国もこの事態に気付かない訳も無く、村々が次々に襲われ壊滅していることに感づくことになる。
だが、どんな勢力がどんな規模で、どんな意図があってこの様な事を行っているのか迄は予想は出来ても確信には至れず、煮え切らない日々を過ごすことになるのだった。
タックス王国の経済能力は今やガタが来ており、いつ何時瓦解しても良い段階まで来てしまっていた。
貴族と言えど、その生活を支えるには散財しなければならない状況にまで衰退してしまっていたのだった。
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