第二章 崩れるギルド堕ちる国
第23話 我が輩の日常と王国の現状
しんしんと降り積もる白い粉雪。
季節は巡った。
この時間の流れの中で、我が輩達六人の生活は文化・文明を開化させた。
血魔法による洞窟内の整地に因り凸凹だった洞窟内の床は磨き上げられ、平坦なものへと仕上げられていた。
また、洞窟の入り口には風雨を凌ぐ頑丈な木の壁が扉を設えた上で存在し、そんな洞窟の内装も質素ではあるが造られている。
我が輩の眷属達が精力的に活動してくれたお陰で、元野盗の塒は清潔な空間へと様変わりしていたのだった。
そして、それと同時に行われていたのが狩りだ。
魔物やハンターを安全第一にして狩り続けた。
だが、未だに成長の兆しは見えない。
身体の中に貯まる、次に成長に必要な力はまだまだ満たされないままであったのだ。
しかし、少しずつであったとしても確実に次の成長へと近づいているのは感じているので焦る必要など無く、じっくりと腰を据えて行っていけば良いだけである。
一方その頃タックス王国のハンターギルド。
冬は毎年、ハンターの活動が低下するものだが、今年は平年に比べても異常と言える程閑散としていた。
これは、我が輩達が継続的にハンターを狩り続けて来た所為であり、成果であった。
そしてこの事は王国の首脳陣の頭を悩ませる結果となっていた。
王国は軍事の一端…いや過半はハンターに依存している。
そんな王国においてハンターの人数の低下は国防に関わる事案だった。
タックス王国は小国だ。
だがハンターと言う特級の存在により周辺諸国と渡り合ってきた。
そんな国の要であるハンターの数がじりじりと減らされてしまったこの事実は、難事として国家を揺るがしかねない事態だった。
だが、まだ何とか持ちこたえていた。
現状の最高戦力が未だ健在だったためだ。
この最高戦力は万軍に匹敵する。
まだ大丈夫…まだ大丈夫と。タックス王国の王は悩ましげに懊悩するのであった。
この事態を引き起こした張本人達は、国家存亡の危機が訪れていることなど眼中になく、ただ只管に自らの生活の向上と、能力の成長のために活動しているだけだとは、王国の誰も知る由がない。
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