第15話 我が輩王国の経済を破綻させ始める
我が輩が野盗等を主な獲物とする様になって幾許かの時が流れた。
我が輩が手に入れた知識から、この周辺を治めるのがタックス王国と呼ばれる小国である事は既に知るところである。
それと同時に軍事的にハンターギルドに頼った政策を行っていることも理解出来ていた。
そして、それは実感を伴っているものだった。
森の中で確認したあの強者達の圧倒的な力。
あれほどの力があれば、多少の数の暴力はどうとでもなるだろう事は想像出来る。
であるならば、我が輩がすることは力をさらに付けること、知識を蓄え更なる研鑽を積むことである。
だが、野盗の類いは情報という面ではあまり役には立たなかった。
やはり身を窶してしまった者というものはそれ相応の知識しか持ち合わせておらず。私の成長はここ最近停滞気味だ。
動物達…魔物達の狩りもあまり上手く行っていない。
やはり元々我が輩がいた森の魔物達よりも量が圧倒的に少ないのだ。
この状況を打破すべく我が輩は考えた。
そうだ、ハンターを襲おうと。
石こそ持っていないものの力の溜まり方はかなりの水準を誇るハンター達。
あの圧倒的な強者さえ避ければ狩ること自体は容易である。
であるならば、後はどの様にして狩るかである。
ハンターの仕事の中には行商等の護衛も存在している。
タックス王国は小国故に比較的に平和な王国である為、ハンターという武装集団を護衛として雇っていれば、早々に危険な目に合うこともないのである。
だが、我が輩にとってそこが狙い目である。
気が緩んでいるだろうハンター共を狩るのである。
我が輩は上空に滞空している。
獲物となる行商とその護衛を探しているのだ。
そして見つけた。良い感じの強さを持ち合わせ、狩りの対象として相応しい存在を護衛に雇った行商の一団を。
我が輩は機会を窺った。都市から離れ周辺に誰も居ないところで不意を打つために。
暫く後機会は訪れる。
我が輩は上空から滑空し音魔法と血魔法を使用してハンターと行商達を血祭りに上げた。
そして、血を啜りブラッディプールに血を溜め込み次の得物を探すのだ。
こうしてタックス王国は吸血鬼の始祖により経済を少しずつ停滞させられていくのだった。
活動しているのがたった一人のためにその被害は微々たるものであるのだが、それでも確実にタックス王国の経済的能力は削られていく。
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