第14話 タックス王国

 大陸西方は今は群雄割拠の時代である。

 国同士は戦争を繰り返し、領土の奪い合いや略奪が日常の世界であった。

 そんな中に存在しているのがタックス王国である。

 この国家は一つの都市と複数の村々からなる小国家ではあるが、国境内に存在する森の恵みとその森で活動するために組織されたハンターギルドというもので国家運営を行い、経済的軍事的に周辺諸国へと力を示してきた。

 特にハンターの強さという物は異常の一言に尽きた。

 日常的に危険な森の中に分け入り活動する彼等は魔物を数多狩る。

 魔物は狩ることで狩った者に力を与える存在だ。

 詰り、ハンターは長く活動すればする程にその力を増していくのであった。

 無限にも見える程に湧き出てくる魔物達を屠ることで力を溜め込むハンター達は、国家防衛の切り札としても機能し、対外的な抑止力として機能している。

 そんなハンターが森の中で消息を絶つ事件が多発する様になる。

 これはタックス王国にとって死活問題である。

 王家はこれに対応する様にハンターギルドに通達。

 ハンターギルドはこれを受け森の調査を行うものの調査は難航した。

 調査に出したハンター達の悉くが生還しなかったのだから。

 そこでハンターギルドは早々に切り札を切ることにした。

 ハンターギルド最高戦力の投入である。

 だが、これは悪手であった。

 この最高戦力が森の中で活動しているのを確認した我が輩事吸血鬼の始祖は、森を早々に離れる決断をする事にしたためだ。

 こうして、ギルド最高戦力を投入したものの何も成果が得られないままに調査は終了し、森の中に脅威となる様な存在は既にどこかへと姿を消してしまったと判断されてしまった。


 盗賊・野盗の被害が減り始めるという報告が王国上層部に届くのはまだ暫く先のお話し。

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