第9話 我が輩は吸血鬼である
例の二足歩行をした者との接触から森の一定範囲での狩りがやりにくくなってから暫く。
その理由は、二足歩行の集団達が我が輩への警戒感を高めていたことが原因であろうか?
我が輩を見つけると付かず離れずの距離を保ち観測をされるのだ。
時には遠距離から攻撃をされる事もあり非常に鬱陶しい事この上ないことであった。
だが、明らかに我が輩自身を狩りの対象として活動している集団と戦闘をするのは、あまりにも不利であるというのは想像に難くないので、出来得る限り接触を避けたのだ。
その為どうしても森での活動範囲が狭まり狩りの効率が落ちてしまった。
獲物を狩り尽くしてしまい、獲物が居なくなるのを避けつつの狩りでは、成長をするための力を貯めるのに時間が掛ってしまったのだが、遂にその時を迎えることが叶ったのである。
今までにも比して激しい痛みが身体を襲い掛かる。
それまでの楽しみながら成長を等と考えることが出来ない程の痛みはどれ程続いたのだろうか。
何時しか意識は白濁としたものになり、混濁として何が何やら解らない状態へとなって行った。
そして気がついた時、そこには新しい世界が広がっていたのだった。
今まで禄に見えていなかった視覚が明瞭に見える様になっていたのだ。
我が輩は慌てて自らの現状を把握した。
吸血鬼・騎士爵・始祖
吸血
ブラッディープール
血魔法
血・記憶抽出
超音波
音魔法
飛行
魔王の種
我が輩はもはや蝙蝠では無くなっていた。
我が輩は…我が輩は吸血鬼である。
今までとは比較にならぬ程の力の奔流が身体を巡っているのを感じる。
さて、まずは本能的には理解出来ているとは言え能力を確認してみよう。
まずは騎士爵。
これは吸血鬼の位の中で最下位を示す物と思って良いだろうと、私の中に送り込まれてくる情報から読み取れる。
次に始祖。
これはこの世界で初めて生まれた吸血鬼だと言うことを指し示す言葉だという情報が流れ込んできた。
そして、血・記憶抽出は、吸血行為を行う事により血を摂取することにより、対象の記憶を抽出することが出来るという物で、戦闘に直接関わることが在る訳では無いものの、様々な知識を得ることが出来る非常に利便性の高い能力だと言えよう。
そして、魔王の種とは魔族を束ねる素質がある者に与えられる称号の様なものだと言うことが、これも騎士爵や始祖同様に情報が流れ込んできたのだった。
そして一通り能力を確認し終えた私は自らの身体を確認してみた。
そこには二本足で立つ裸のスレンダーな女性の肉体と、腰の部分から生えた翼膜が見えだった。
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