第10話 二つの解釈

 人属領神聖教皇市国。

 その日教皇の地位に就き神託の能力を持つ者はその身を震わせた。

 長い間その姿を現さなかった魔王の顕現の予兆が神託により下されたからである。

 この神託は教皇国に所属する各教会へと届けられ、それを通し各国へと情報が共有されることになった。

 数百年その姿を現さなかった魔王顕現の兆しの凶報は、人属領にどんな変化をもたらすのだろうか。


 魔族領ギグロバ教教主執務室。

 ここでもまた新たな魔王顕現の兆しの神託が下された。

 が、人属領と違うのはこれが吉報であったと言うことだろう。

 魔族にとって魔王とは、魔族を牽引する者の事を指す邪悪な存在を指す言葉なのだから。

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