第8話 我が輩と森
我が輩が自らのことを認識し、我が輩が蝙蝠であると解ってからどれ程の時間が経ったのだろうか。
我が輩は成長する毎にその行動範囲を広げていった。
その結果我が輩が住処としている洞窟の周辺には森が広がっており、そこには多種多様な生物が日夜生存闘争を繰り広げているのが見て取れる様になったのだ
そんな森の上空を我が輩は飛ぶ。次なる獲物を求めて。
超音波による索敵で上空からでも枝葉を気にせず索敵できる我が輩にとって、この森の地形の大まかなところは把握しているし、我が輩にとって危険な生物というものも理解している。
先日の様な不意を打たれない限り、我が輩にとってこの森は最早ただの狩り場にしか過ぎないのであった。
そんな日々の中で我が輩は奇妙な集団を見つけることになる。
二足歩行をした小集団である。
その集団は森の外からやって来ては狩りをし、その成果物を森の外へと持ち出しているようで、気にはなるものの森の外に出るつもりのない我が輩はそれらを無視していた。
殺し喰い、殺し喰い、殺し喰い。
日々をそうやって過ごすのが当たり前で、次の成長が来るのを楽しみにし、過ごしていると、一人の二足歩行をした者が近づいてくるのが解った。
王との闘いの後、精度を上げていなければ気付け無い程の小さな気配で以て近づいてくるその存在に気付いた我が輩は、食事中ではあるがその場を飛び去り上空へと身を登らせた。
二足歩行をした者は私が飛び去ったのを確認したのかどうか解らないが、後方に居いる集団と合流しのだった。
その後他の集団と同じく狩りをした後に森の外へと出て行くのだった。
我が輩はそこはかとない嫌な感覚を憶えつつも、その正体が何か分らず困惑の感情を憶えたものの。
いつも通り狩りを再開するのであった。
一方その頃タックス王国国営のハンターギルドに於いて、とある報告が成されることになった。
森の中で巨大な蝙蝠の発見の報告である。
詰り、サウンド・ブラッディー・グレーター・バットを発見した斥候が、これを驚異と見なしギルドに報告をしたのだ。
今まで発見されたことのない程の巨大な大きさを誇る謎の蝙蝠。
その驚異度がどの程度なのか解らない為、ハンターギルドでは注意喚起が為されることになるのであった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます