第7話 我が輩と王
その日我が輩は何時も通り緑色の生き物を狩り吸血しブラッディープールに血を貯め石を食べていた。
そんな時にのそりと我が輩の前に現れた存在が居た。
我が輩の超音波の警戒網を潜り抜けて現れたそれは緑色の肌をした生き物たちと同種と解るが、明らかに生物としての格が違う存在であるのは、一目見た瞬間理解出来た。
我が輩と同様に成長した個体だろう事は明白である。
問題は既に相手と交戦距離と言うことであり、既に此方へと相手の得物が振り下ろされようとしていることであった。
我が輩は羽ばたき後ろへと飛びすさぶが、揚力が確保出来ず間合いを遠くにするに留めるに到ったに過ぎない。
そして我が輩と成長個体はにらみ合う。
いや、その風格からして緑色の生き物の王と呼ぶべきだろうその存在とのにらみ合いを長く続けるつもりが無かった我が輩は音魔法を発動する。
一瞬眉を顰める王はその場から身を滑らせ此方へと近づいてくる、音魔法の発動が見切られたのだ。
さらに、それと同時に間合いを詰めようとしてくる。
私の身体は成長したとは言え貧弱だ。
王の攻撃を食らえば一溜りも無いだろう。
胴体に食らえば瀕死になるだろうし、翼膜にでも当たってしまえば禄に飛び回ることが出来なくなった我が輩はただの的になってしまうだろう。
故に我が輩は距離を詰められる前にその身を空へと踊らせた。
後方へと身を飛ばしながらの変則的な離陸は、それ相応に身体に負担が掛ったが、相手の攻撃を受けるよりかは幾段もマシな為無理矢理敢行する。
そして、空高く舞い上がった我が輩は上空から王へと音魔法の絨毯爆撃をお見舞いしてやることにした。
連続する音魔法に翻弄される王の身体は徐々に力を無くしていき力尽きることになった。
我が輩は慎重に空から地上を睥睨し、他に危険な存在が居ないかを確認し終えると地表へと降り立ち王を喰らった。
その血の何と甘美なことか、いままで味わってきた中で最も旨いと思える血であった。
そして次に食べるのは勿論石である。
この石は他の者共と比較して大きくそして甘美であった、それに比例して我が輩に流れ込む力もそれ相応に大きく、我が輩は成長を始めたのだった。
そして始まる愉悦なる成長の痛み。
サウンド・ブラッディー・グレーター・バット
吸血
ブラッディープール
血魔法
超音波
音魔法
飛行
我が輩は更なる成長を遂げ、さらに大きさを増したのであった。
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