第6話 我が輩は捕食する
我が輩が住処としていた洞窟にいた隣人を全て吸血し、その血をブラッディープールへと溜め込んでミイラ化した残りかすを洞窟の外へと放り出すと。
我が輩は何時も通りの定位置、洞窟の天井へとぶら下がった。
そして考える。今後の方針を。
音魔法により今までよりも圧倒的な攻撃力を獲得するに到った我が輩であるが、洞窟の外で出会う他の生き物共と比較するとまだまだ矮小な存在側である事には変わりない。
だが、昆虫やネズミ、それとあの醜い緑色の生き物程度であれば問題なく殺し捕食出来ることは確認済みだ。
となると、今後は捕食対象にあの緑色の生き物を加えつつ、今まで通り慎重に行動していけば良いだけだ。
我が輩の活動時間は基本的に夜である。
これは昼に活動できないという訳では無く、大半の動物が…それも私よりも大物の生き物の生活時間が昼に行われていることに起因している。
即ち、我が輩にとって最も安全に活動できる時間帯と言う訳である。
さて、そんな生き物たちの中には緑色のあやつ等も含まれている為、捕食に関しては実に楽をしている。
音魔法で頭を吹き飛ばして殺し吸血して石を喰う。
そんな平和な日常を送るだけで、我が輩はドンドンと次の成長に必要な力を溜め込むことに成功している。
そうして様々な生物を捕食することどれ程だろうか。
いつもの様に成長の時は訪れた。
快楽とは行かないまでも、成長する喜びを知ってしまっている我が輩にとって、成長する度に襲い掛かる痛みは既に痛みとしては認識出来ず、唯々楽しみな時間となってしまっていた。
サウンド・ブラッディー・ミドル・バット
吸血
ブラッディープール
超音波
音魔法
飛行
残念ながら今回の成長で新しい能力は目覚めなかった様だ。
その代りに身体の大きさがさらに倍になっていた。
翼膜を広げた大きさであれば、緑色のあやつ等よりも大きい程に成長しておる。
この調子で狩りを続ければさらに大きくなるのだろうか?
それとも新しい力に目覚めるのだろうか?
我が輩のワクワクは止まる事を憶えなかった。
そんな感情を抱えながらも実直に慎重に狩りを続ける。
やっとここまで成長できたのに、変な欲をかいて死んでしまうのは勿体ないのである。
だだ、次の成長までに必要な力が溜まるまで相応に時間が掛ってしまった。
我が輩が成長したことと、狩っていた対象が今までと同じ事が理由だろう。
だが、時間さえ掛ければいつかは成長する先はまだ見えている。
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