第5話 我が輩掃討する

 さて、狩りを行っていた個体を殺すことに成功した我が輩は他の個体も殺そうと思い立った。

 恐らくではあるが、あの集団の中で最も強い個体なのが、今し方殺した狩りをしていた個体だろう事は想像に難くないだろう事からの判断である。

 ただ、そうだとは言え正面から馬鹿正直に挑めば此方に勝ちはないことはあり得ることなので、彼奴等が寝静まった夜にでも超音波で永遠の眠りについて貰う予定だ。

 では、早速洞窟に戻りその時を待つとしようでは無いか。


 そして夜、醜き生き物たちが寝静まった事を確認した我が輩は、出来るだけ音を出さないように地面へと降り立ち一匹ずつ超音波で殺していくのだった。

 自分よりも大きな生き物をこうもあっさりと倒してしまうこの快感は中々に甘美であり、今後も愉悦に浸りたいところではあるのだが、まずは石を食べることからだ。

 狩りをしている個体を解体する過程で、石が何処にあるのかは解っているので、今回は前回よりもすんなりと石を食べることに成功する。

 そして、力が溜まりいつも通りに身体が軋みを上げて痛みが全身を襲う。

 我が輩は最早痛みになれ、ワクワクとした面持ちでどんな成長をするのかと期待に胸を膨らませていた。

 そうして暫くすると痛みは引き成長が終わったようだ。


サウンド・ブラッディー・バット

吸血

ブラッディープール

超音波

音魔法

飛行


 おう!おう!!遂に、我が輩に新たな力が芽生えたようだ。

 しかもその力の質というか使い方というものは本能的に理解出来るものである。

 先ず「ブラッディープール」は、吸血した血を貯めることが出来る異空間を保有する事が出来る様だ。

 血のみに特化しているとは言え、今後の食糧事情に関わることなので非常に有用であろう。

 そして「音魔法」は、超音波をさらに攻撃的にしたようなものの様だ。

 そこらに残った死体に試し打ちしてみたところ死体が爆散したのだ。

 威力は十分なのだが、これでは吸血行為が出来ない為、威力調整が今後の課題と言ったところであろうか。

 身体の大きさこそ今までと変わらないものの、新しく手に入れた二つの力は我が輩の生存能力を高めてくれるに十分な能力を兼ね備えてくれている様であり、我が輩としては非常に満足であるのであった。

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