第3話 我が輩は蝙蝠である
バット
吸血
超音波
飛行
我が輩は蝙蝠である。
ふむ、これでやっと蝙蝠と名乗っても問題ないだろう。
さて、そんな訳で此度の成長で我が輩はやっとレッサーでもなく、スモールでもないバットとなる事が出来た。
そして、本能的ではあるのだが、今までとはその能力が桁違いに上がっているのを感じている。
先ず大きさ、恐らくで在るがスモール・バットが付いていた時と比較して2倍近い大きさになっている。
さらに超音波の出力も大幅に向上し、周辺状況の把握やその範囲向上が実感として体感できたのだ。
少々時間が掛り痛みを伴うものであったが、それに見合うだけの成長をしたという実感がふつふつと湧き上がる様に感じる。
さて、こうなってくると色々と試したくなってくるのが心情というものだろう。
今まで小さな昆虫やネズミを主食としてきた我が輩だが、そろそろそれ以外の生き物にも手を出す頃であろう。
実際レッサー・スモール・バット、スモールバット、バットとなる過程で必要になったネズミの量というのは多くなっていたのだから、もっと効率の良い獲物を求めるのは必然であると言えるだろう。
となると、その選定を先ずしなければならないだろう。
我が輩よりも小さく、ネズミより大きい生き物…
都合良く見つけ出せるかは運に任せるしかないだろうが、引き続き昆虫やネズミを殺しながら気長に成長する為のお命を頂戴することにしよう。
いや素晴らしきかなこの身体能力!
成長して色々と試しを行った結果分ったことがある。
超音波の使い勝手の良さである。
収束して相手にぶつけてやればそれだけで方向感覚を無くしその場に蹲ってしまうのだ。
ネズミ等の小さな動物であればそのまま絶命する程の威力である。
いやはや実に素晴らしい。我が輩はもしかしたらもっと大きな獲物を狙えるかも知れないと思い立ち、我が輩のねぐらに住み着いた緑色の肌の醜悪な存在達を観察することにした。
彼奴等は時々単独で出掛けている様だ、そして狩ってきた獲物を五匹で分けて貪り食っている。
その醜い見た目に反して文化的というか、仲間意識は高い様である。
そして一つ気付いたことが。
狩りにでた個体は必ず狩った個体のある部位を優先的に食べていたのだ。
それは心臓近くにある小さな石の様なもので、私もそれを見た瞬間非常にそれを食べたい衝動に駆られたのだった。
どうやら本能的にそれが身体に必要な物だと感じている様だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます