第309話 八岐大蛇を倒すのは全ての首を斬ったあとで
蒼剣のボスにも八岐大蛇は登場した。
八岐大蛇の厄介なところは、首を切り落としても再生するところにある。
再生される前に全ての首を切り落とすことでようやく倒すことができる。
等しくダメージを与えていき、首を倒すときは一気に倒す。
ソロで倒す場合のコツだ。
カイザーが一緒にいるのだが、今のコイツのレベルでは戦力として期待できない。
しかし、ワグナーの奴め、まさか百階層のボスをテイムしてボス部屋を通過するとはな。
ダンジョンのボスは蒼剣内でもテイム可能だった。
しかし、その確率は非常に低く、上級ダンジョンのラストフロアボスともなればその確率は同レベル帯で0.1%未満と超低確率のテイム難度である。
やはり魔王の力なのか。
ボスをテイムした場合、宝箱の入手ができない欠点があるが、八岐大蛇をテイムは虹色宝箱を入手するよりも価値あがりそうだ。
首にダメージを与えていく。
斬り落とさない。
ギリギリ助かっている紙一重の状態のことを『首の皮一枚繋がる』って慣用句があるが、その首の皮一枚の勝負だ
「おい、まだ首が斬れてないぞ! もう少しだろ!」
「黙って隠れてろ!」
俺はカイザーに怒鳴りつけた。
これが帝国内なら不敬罪で処刑だろうが、ここはもう死の大地だ。関係ねぇ。
こっちは首を斬り落とさないギリギリのラインで戦っている。
八岐大蛇が炎を吐き出す。
八岐大蛇が出てきたとき、装飾品を完全火耐性の装備に変えた。
俺は炎を突っ切り、八岐大蛇にダメージを――
「なっ!」
炎を突っ切った先にあったのは八岐大蛇の尻尾だった。
俺を焼き殺すための炎じゃない、視界を遮るための炎だったのだと気付いたときには俺の身体は尻尾に吹っ飛ばされていた。
レベルが低かったら死んでいた。
道具欄のエクスポーションを使用する。
体力が回復した。
「さすが百階層のボスだ」
正直舐めていた。
装備を変更する。
白銀の
属性剣は使い時によっては役に立たないから白銀の剣を鍛えたかったし、なにより使用すると魔力を消費するからここは力を温存しておこうとしていたのだが、いまはそんなことを言っている暇はない。
氷帝の剣――銘は《バルムンク》だ
この剣に銘を与えた途端、八岐大蛇の炎によってサウナのように熱せられた室温が一気に元の温度どころか、真冬並みに落ち込んだ気がした。
凄いな。
さすがは帝の力を持つことがある。
同じ帝でもカイザーとは偉い違いだ。
八岐大蛇が息を吸い込む。
また炎か、それとも毒の息か。
どっちにせよ、もうお前のターンは終わりだ。
俺は氷帝の
途端に、その首が爆発した。
炎を吐こうとしていたが、首を斬られたことでそれが暴発したんだ。
だが、俺の剣がその爆発の炎をも氷の渦でかき消す。
まだ成長もしていないレベル1の剣とは思えないその力に一瞬眩暈を覚えた。
魔力の消費が激しい。
だが、ここからが時間との勝負だ。
今落とした首を再生される前に他の首を斬り落とす。
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表垢が少し忙しく、暫く短めの更新になります。
ご了承ください。
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