第292話 地下四階層に行くのは謎を解いたあとで
「ここ……だよな」
地下四階層に続く階段を下りていく。
降りていく。
下っていく。
くだって、おりて、曲がっておりてくだって、まがってまたおりて……って長すぎるだろっ!
どこまで進んでも階段が終わらない。
地下四階に到着しない。
これはおかしい。
一番おかしいのは地図が表示されないところだろう。
これはきっとあれだ。
黒鉄の短剣を取り出して壁に印を刻む。
そしてさらに降りていく。
暫く階段を降りたところで、壁に俺が刻んだ目印を見つけた。
やっぱり無限ループだ。
蒼剣でもあった。
いくら階段を降っても目的の場所に辿り着かない。
試しに階段を上がっていく。
直ぐに地下三階層に戻ってこれた。
戻ることができるだけマシか。
地下四階層が表示されないのは何か結界があるせいかと思っていたが、これがその結界か。
結界を解除するにはどうしたらいいんだ?
床を壊すか?
いや、下に攫われた人、特にアムがいたら困る。
魔法の解除――こういうのはミスラの専売特許なんだが、つれてくるか?
いや、待てよ?
確かそんな魔法があったな。
ディスペル――呪いを解除する魔法だが、魔法を解除することもできるはずだ。
よし、思い立ったが吉日!
さっそくやってみよう。
「ディスペル!」
俺は魔法を使った。
パッと階段の中が照らされる。
特に変化は見られないが、これで大丈夫のはずだ。
階段を下りる。
さっきあった目印があった。
さらに進む。
また目印が――ってループしてる。
ダメだ、失敗だ。
戻る。
んー、どうすれば――
と思ったら、ノワールが影から出てきた。
「どうしたんだ?」
ノワールと目が合う。
何か言いたそうにしているが……え? そうなのか?
ノワールの言いたい事がわかった。
やってみる価値はある。
ノワールの身体が縄のように細く伸びていく。
俺はその影の縄を身体に括りつけた。
ノワールの縄の先端を柱に括りつけ、俺はノワールの縄を括り付けたまま階段を下りていく。
曲がって進んで進んで曲がって――ってあれ?
目の前にノワールの縄が浮かんでいる。
ここが無限ループの終点と始点ってことか。
ここを通過すれば、ループする。
ってことは、ここに何かループする原因があるはずだ。
「ディスペル!」
解呪魔法を使う。
反応はない。
と思ったら――目の前の空間が級に揺れ、目の前にあった縄が消え、代わりに階段の終点と部屋が現れた。
ループが解除された。
『私の空間魔法を解除する輩が現れるとはな』
声が部屋の中に響く。
その声の雰囲気、聞いた感じがする。
そこにいたのは黒い顔の男。
「悪魔がこんなところで何をしてるんだ?」
『この部屋に来た人間を殺せと命じられている。私は平和主義でな。入らないで貰えれば助かるのだが』
と悪魔はため息をついて俺を見た。
命じられている――ってことは主人がいるってことだ。
「誰に命じられてるんだ?」
『それは言えない』
「ワグナーだろ?」
『…………』
「この先に誰か捕まってるんじゃないか?」
『…………』
悪魔は何も言わない。
俺はそれを肯定と受け取った。
そして、俺はさらに一歩踏み出した。
途端に悪魔から黒い影が伸びる。
が、俺の身体に括りついていた影が形を変えて、その黒い影と交差した。
影と影の戦いは互角に終わった。
『影を操る――まさか、貴様も悪魔かっ!?』
「お前と一緒にするな!」
と俺が言ったら、影が集まり、ノワールの姿に戻ると、悪魔に襲い掛かる。
『ほう、影のドラゴンか。先ほどの攻撃の正体はこいつか』
悪魔とノワールの戦いが始まった。
互角かな?
結構強い。
ノワールが俺の方を見る。
ここは任せて先に行けとでも言いたげだ。
なのでここはノワールに任せて先に進むことにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます