第243話 五人でダンジョンはハスティア強化のあとで

 ハスティアと一緒にダンジョン攻略をすることになった。

 レギュラーメンバーになったのでステータスを確認しておきた。


「ハスティア様。俺には仲間のステータス――能力を見る力があるのですが、ハスティア様の能力を拝見してもいいでしょうか?」

「もちろんです、勇者様! どうぞご覧になってください。このハスティア、勇者様に隠し事は一切ありませせん!」


 性癖はもっと隠してほしいと思ったが、許可を貰ったのでステータスを見る。


―――――――――――――――――――――

名前:ハスティア

種族:人間族

職業:勇者マニア

レベル:23

体力:390/390

魔力:23/23


攻撃:391

防御:405

俊敏:249

運:15


装備:鋼の剣(勇者モデル) 勇者の首飾り(レプリカ)


戦闘能力 名乗り 剣技覚醒

称号:憧れの奴隷(経験値+1%)

―――――――――――――――――――――


 いろいろとツッコミたいところもある。

 特に職業……勇者マニアって、それは職業じゃないだろう。

 もしかしたら、ヨハルナ様の職業は【アイリス推し】とかじゃないだろうな?

 装備も騎士様の装備かと思ったらコスプレかよ。鎧はステータスに表示されないが勇者モデルの鎧なんじゃないだろうな?

 レベルが高い。

 魔力が低いがそれ以外は高いな。

 俊敏より防御の方が高いが、タンクという感じではないな。


「ハスティア様の能力、名乗りと剣技覚醒について教えてください」

「おぉ、能力までわかるのですね。名乗りは、敵と相対したとき、名乗りを上げることでステータスが上がり、敵からの注目を浴びる能力です。ただし、名乗りを上げるとき動けなくなるのが厄介ですね」


 スポットライトに似ているな。

 違うとすれば、魔物の前で使わないといけないのなら、事前に使っておくことはできないのと隙ができてしまうことか。


「剣技覚醒はステータスを五分程度底上げする能力です。ただし、一度使うと一分間動けなくなるので、ここぞというときしか使えませんね」


 こちらはかなりリスクの高い能力だな。

 一分間無防備ってことは、そこで相手を仕留められなければアウトだ。


「じゃあ、ダンジョンに行いきましょう。皆を集めます。」

「ん? 一緒に行くのはアムルタートさんとミスラさんだけではないのか? メンフィスのことか?」

「いえもう一人いる……あぁ、メンフィスも連れて行ったほうがいいですか?」

「いや、あいつはいま教会関係でトランデルの王都に行ってもらっていますんどえ」


 そうか。

 少しほっとした。

 メンフィスは嫌いってわけじゃないんだが、少し苦手なんだよな。

 ということで、改めてメンバー集合だ。


「はじめまして、ハスティア・ジオ・イリア・クリオネル様。アルフォンス様には留学中、大変お世話になりました。もっとも、例の戦争騒ぎで留学は中止になってしまいましたが」

「はじめまして――まさかアイリーナ姫殿下もご一緒にダンジョンに行かれるとは思ってもいませんでした。ええ、例の戦争の件は私も胸を痛めています」

「あら、そのようなことを言ってもいいのですか?」

「もちろんです。勇者様がトーラ王国についたのであれば、その時点で否は我が国にあります。」


 改めてリーナとハスティア様の初顔合わせだ。

 ハスティア様の判断基準が俺って、考え過ぎだろう。

 言っちゃ悪いが、国同士の戦争なんてどっちが悪いとかどっちが正しいとか絶対的な答えを出せる者は少ないと思うぞ。


「じゃあ、出発前にハスティア様の職業を変更しましょう」

「職業?」

「勇者の能力の一つです。詳しくは職員に聞けばいいですよ」


 俺は修道士から武道家に職業変更、アムは盗賊、ミスラは魔術師、リーナは修道士についている。

 説明が面倒なので、とりあえず酒場に移動。

 そこで――


「ミケ、ハスティア様の職業の変更をしたいから説明を頼む」

「ボス、面倒ごとを全部オレっちに丸投げかにゃ? まぁ、別にいいけど」


 と言って、ミケがハスティアに職業の説明をする。

 まだ職業酒場のレベルが1なので転職できる職業は限られているが。


「なるほど――では私は剣士でお願いします」


 やっぱりそれを選ぶ思った。

 さすが剣一筋だな。

 ということで、ハスティアが剣士に職業が変更。

 彼女のステータスを見るたびに、勇者マニアの文字を見なくていいからほっとした。


「次に能力を覚えましょう」

「能力を覚える? 能力とはそんな簡単に身に付くのですか?」

「そこも勇者の能力です」


 やはり魔法の適性はないらしく、魔導書は一切使えなかった。

 生産系能力も適性がないらしく、覚えられたのはスポットライト、手加減、首皮一枚の三つのみ。

 しかし、それだけでも彼女は驚いていた。

 

「こんな簡単に能力が……さすがは勇者様です。このスポットライト、使える人間が増えれば狼煙の代わりに仕えそうですね」


 スポットライトを明滅させながら言う。

 モールス信号ってこの世界にあるのかなぁ。

 SOSってどうやるんだっけ? 短いの三回、長いの三回、短いの三回だったかな?

 知識がうろ覚え過ぎて使えない。


 とりあえず、出発の準備が整った。

 さて、今日はどこまでダンジョンに潜れるかな?

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