第233話 骨を食べるのは「待て」のあとで
18階層までで行ったボス部屋は6カ所。倒したボスは12体。
宝箱は全部で41個出た。
金色宝箱9個、銀色宝箱12個、茶色宝箱20個。
初回クリアボーナスと完全踏破ボーナスがあったお陰で金色、銀色宝箱が結構多かった。
十五階層のミスリルタートルは防御力が高く、さらには魔法耐性も高く倒すのに時間がかかったのでそこで完全踏破ボーナスを得られなかったのは心残りだ。
さて、恒例の宝箱一覧だ。
―――――――――――――――――――――
通常宝箱
・2500イリス:1
・5000イリス:2
・エクスポーション:2
・魔力ハイポーション:1
・万能薬:2
・金の塊:1
・魔法粘土×5:5
・ミスリル塊:1
・帰還チケット×5:1
・高級空き瓶×3:2
・帰還チケット:2
銀色宝箱
・道具枠拡張の巻物:1
・ドラゴンのぬいぐるみ:1
・ドラゴンフルーツの苗:1
・パイナップルの苗:1
・調理レシピ:2
・ミスリルタートルの甲羅(大盾):1
・ドッグフード:1
・宝の地図:1
・高級ねり餌:1
・虫寄せライト:1
・一流料理人のミキサー:1
金色宝箱
・福寄せ地蔵:2
・ドラゴンの卵:1
・ミニゲームボックス:1
・スターレモンの苗:1
・落下星:1
・伝説のまな板:1
・技術書(バックステップ):1
・技術書(竜の怒り):1
―――――――――――――――――――――
さすが上級ダンジョン。
通常宝箱から出るアイテムでもいいものが多い。
魔力粘土の数も多い。
さらに、魔物の通常ドロップもいいものが多いんだよな。
虫寄せライトは、採虫ポイントに設置すると、虫取りポイントの復活時間が半分になる。
落下星は自宅に設置すると、魔物のドロップアイテムが5%増加する。
ドロップ率20%の素材なら21%になるって感じだ。
20個設置すればドロップ率が2倍になる。
竜の腕輪とか竜の首飾りといった竜装備がある。
あと、穴掘りでもいくつか見つかった。
ゴミアイテムが、
・蛇足の抜け殻【蛇の抜け殻らしいが、何故か足まである】
・逆矛盾の矛【何も貫けない矛。何も防げない盾もあったが風避けに使ったら砕けてしまった】
一般アイテムが、
・美味しそうな骨【犬が喜ぶ骨。コボルトビルダーに渡したら大喜び】
・古代米の種もみ【昔の人が食べていた米の種もみ。畑に植えると古代米が育つ】
コレクターアイテムが、
・古代竜の背骨【古代竜の背骨の化石。化石シリーズの一つ】
・オリンピアのゼウス像【天空神ゼウスの彫像のレプリカ。中世七不思議シリーズの一つ】
・二宮金次郎の像【夜になると走り出す二宮金次郎。学校の怪談シリーズ】
って感じだ。
中世七不思議シリーズが3つになったことで、イリスのドロップ量が+1%のボーナスがついた。
そういや、学校の怪談シリーズは初めてだな。
「いやぁ、なかなか面白いものが出たな」
「はい。特にこの運が2上がる竜の首飾りは素晴らしいです」
「私はニャーバンクル様と契約できたのが幸せですね」
と三人とも喜んでいたが――
「………………」
ミスラが少し落ち込んでいた。
まぁ、今回は珍しく魔導書ゼロだったもんな。
いや、いままで結構出ていたのが不思議だったんだ。
「ほら、落ち込むなよ。このブルードラゴンが落としたドラゴンズアイやるからさ」
「あの、トーカ様、ドラゴンズアイは売れば王都に屋敷を建てられる宝石なのですが。トーラ王家でも数点しかない希少品ですよ」
あぁ、うん、知ってる。
この前、王家の宝物庫を見せてもらったから。
宝物庫?
「そうだ、ムラハドの屋敷にあった魔導書が今度届くんだろ? それを読むからどっちにしろ新しい魔術書を読んでる暇なかったって」
「……そうだった」
トーラ王国の王様からの褒賞として城の宝物庫から好きな物をいくつか貰えることになっていた。
ただ、美術品とかそういうものには興味がないし、宝石類も普通に手に入れようと思えば手に入るものばかりだった。
でも、何も貰わないのも失礼だと思ったとき、ミスラがムラハドの部屋にある魔導書を欲しいと言い出した。
スクルドの部屋はもぬけの殻だったが、第二席宮廷魔術師のムラハドの部屋には希少な魔導書がいろいろと放置されていた。
一応、元第三席(現在第一席)の宮廷魔術師が中を調べたうえで、それらをミスラに送られることになった。
そろそろ届くはずなので、それを思い出したミスラは少し機嫌が戻った。
家に帰ってもポチがいなかったので、先に酒場の方に行くことにした。
酒場に行くと、あいかわらずもぐら叩きが大盛況だ。
よく飽きないなぁ。
「町長、こんな時間に来るなんて珍しいな! どうだ、駆けつけ一杯!」
「今日も酒がうまいぞ! 飲んでけ!」
酒を飲んでたやつらは俺を見るなり酒を勧めてくるが、やることやったら家に帰ってアムかミスラと一緒に風呂に入りたいのでやんわり断った。
「ミケ、またミニゲームボックス手に入れたんだが、設置していいか?」
「その辺に置けばいいにゃ。ボスはどうせ断っても置くにゃ。オレっちの店は酒場じゃないのににゃ」
とミケは渋々、酒場の隅に設置することを許可してくれた。
なのでミニゲームボックスを設置する。
今回のミニゲームは、侵略者ゲームか!?
大昔、喫茶店とかであったシューティングゲームみたいなものだ。
1プレイ10イリスらしい。
客たちが早速侵略者ゲームに興味を示したので、プレイ方法を説明。
早速始めた。
「お、なんだなんだ? 石を投げてこの変なスライムを倒せばいいのか?」
「当たった。石一発食らったら死ぬのか」
「代われ! 俺が全部倒してやる!」
スライムじゃなくて侵略者なんだけど……まぁいいや。
新しい名物になりそうだ。
「あぁ、それとミケ。スターレモンの苗が手に入ったぞ」
「本当にゃ? それは朗報にゃ。村でレモンサワーやレモン酎ハイが作れるにゃ」
「あと、古代米の苗とドラゴンフルーツの苗も」
「ドラゴンフルーツのフルーツ酒は作れるけど、古代米酒は……うーん、まぁ作ってみるにゃ」
ミケが色々と考えている。
とりあえず作ってみるんだね。
話を聞いてた客たちが新しい酒が飲めるってはしゃいでいる。
苗はミケに預けた。
ミケならちゃんと植えてくれるだろう。
家に帰る途中、ポチと会った。
「あるじ、おかえりなさいです。出迎えできなくてごめんなさいです」
「いいよ。ポチも用事があったんだろ?」
「はい、ウサピーに呼ばれ……ん? あるじ、いい匂いがするのです」
ポチがそう言うと、俺の手の方に近付いて来て、くんくんと匂い始めた。
って、ぽち、急に指を舐めるな。
「いい匂いなのです! あるじ、何か隠してるですね?」
「ドッグフードか?」
「ドッグフードよりもいい匂いなのです」
「とすると、こっちか?」
美味しそうな骨を取り出すと、とたんにポチが骨を咥えた。
骨を持ち上げると、ポチの身体も持ちあがる。
これ、絶対に放しそうにない奴だ。
ここまでのポチは珍しい。
ポチに咥えられた状態のまま、美味しそうな骨を道具欄に収納する。
「ポチ」
「……はっ! ごめんなさいなのです。つい夢中になってしまって」
「ああ、そうか。伝説のまな板と一流料理人のミキサーが手に入ったぞ」
「それはよかったのです。美味しいご飯やジュースが作れるのです」
ポチはそう言うが、その目はさっきまで骨を持っていた俺の手に釘付けだ。
美味しそうな骨を出す。
ポチが食いつきそうになるが、
「待て!」
そう言うとポチが止まった。
ポチはいい子なので、待てができる。
「まだ待つんだぞ」
いい子なので待てができる。
ただ、その目はとても悲しそうだ。
目をうるうるさせている。
ズルい。
そんな目されたらあげないわけにはいかないぞ。
「食べていいぞ。ポチには世話になって――」
もう食べていた。
速い。
さすがポチだ。
骨に夢中なポチを見て、なんだか平和だなぁと思った。
そして翌朝。
俺たちはブルグ聖国からの使者を迎えるために迎賓館の入り口で待っていたところ――全力で走って来る一人の女性が。
「勇者さまぁぁぁぁぁぁあっ!」
あの声には聞き覚えがある。
「勇者様! このハスティア、ただいま参上しました!」
俺が知る限り最強の勇者マニア、ハスティアがブルグ聖国からの使者としてやってきた。
いや、お前トランデル王国の貴族だったよな⁉
なんでブルグ聖国の使者なんだよ!?
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